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「紫さま、彼等は弾が無いようです」
「もちろん調達したわよ。弾と燃料をなるべく沢山ね」
「…何故そこまでするのです?」
「戦争だからよ。殺したり殺されたりするのが戦争でしょう?」
「…………」


*******

紅魔館 食堂

とりあえず、自衛官全員で現状を整理するため会議になった。
幻想郷代表でパチュリーも同席し、ようやく現状を述べ終わった所だ。
「つまり、近い内に戦争になると」
「そうだ。バラバラだった奴らが1つの方向へ向かう事ほど恐ろしい事はない」
なるほどと駒田は納得したようだ。
「ちょっと待ってくれ。戦争や言うてもやで2尉。俺らは演習やったんです、実弾なんか拳銃弾一発持ってません。それにコブラは燃料が半分もあらへんのです。戦争なんぞ無理な話です」
雉沼が口を挟んだ。
通常、演習用の模擬弾を搭載していても、実戦能力は皆無に等しい。
「雉沼…だったかしら?弾がないなら送ってくるのが八雲紫、燃料がないなら送ってくるのが八雲紫、兵隊が足りないなら送ってくるのが八雲紫。きっとアイツは統一とか言ってるけど戦争したいだけなのよ。相手と対等な条件でね」
パチュリーが言った。
しかし、雉沼は納得出来ないのだろう。
少し不機嫌そうに言う。
「そんなん弾送って来ても闘わんかったらええんちゃうか?」
「ダメよ。それこそ殺されてしまうわ。限りなく残忍な方法で殺されてしまう」
「そんなん言うてもやな。…何やっけ?弾幕?コブラに避けれるか?」
「戦争を楽しみにしているなら当てて来ない。アイツは弾幕を避けようと踊る様を見て悦ぶ変態なんだから」
意見は平行線だ。
戦いたくない雉沼、戦争やむなしのパチュリー。意見は真っ二つ。他の自衛官たちも黙ったまま俯いている。
「あのぅ…取材を」
取材が出来ると思って雉沼に付いて来た射命丸が言った。
射命丸は雉沼たちを案内する代わりに取材をすると言っていた。だが取材出来る空気ではないし中々言い出せなかったのだ。
「……先に取材を受けてまおか」

*****

「本日は貴重なお話をお聞かせ頂きありがとうございました」
深々と礼をする射命丸に釣られるように自衛官たちも礼をする。
「イエイエ」「ドモドモ」とまるでサラリーマンだ。
「それでは失礼します」
玄関から出る為に移動する時間も惜しいのだろう、窓を開けると背中の羽根を羽ばたかせ出て行った。
……静寂。
誰も喋ろうとしない。
まぁ仕方ないだろう、突然戦争などと言われたのだから。
「…2尉、2尉は戦争するつもりか?」
静寂を破いたのはコブラのパイロット雉沼だ。
腕を組んで目を瞑っている倉田に向かって問いかける。
「…回避出来なきゃな」
予想通りと言えば予想通りの回答に自衛官たちの重い溜め息が食堂に響いた。
と同時に扉をノックする音が響く。
扉を開けたのは紅魔館のメイド長、十六夜咲夜。
「パチュリー様、失礼します」
少し困ったような表情だ。
「どうしたの?」
「自衛官の皆様方も正門の前に集まって下さい」
「咲夜、何があったの?」
咲夜はほんの、ほんの少しだけ口角を上げて言った。
「…八雲紫から贈り物です」

*******

紅魔館 前庭

まるで最初からその場にあったかのように鎮座している。
山のように積み上げられた弾薬だ。
そして、弾薬の隣にはニヤニヤと不敵な笑みの八雲紫が立っていた。
「お初にお目にかかりる方もおられますね。ワタクシ、八雲紫と―」
「動くな!!両手を上げろ!!」
田中が銃を構えた。
しかし、紫は別段驚く事もなくニヤニヤと笑みを浮かべている。予想通りに事がすすんでいるのが楽しいのだろう。
「紫様に無礼な」
音もなく近いた八雲藍によって田中に刀が突きつけられる。
藍の構える刀は少しずつ田中に近づいていくが、田中も引き金に少しずつ絞っていく。
「藍、止めなさい。私たちはご挨拶に来ただけよ」
「はい紫様」
突きつけられていた刀が離れる。
「田中、お前も"それ"下ろせ」
「…了解」
田中は9mm機関けん銃を下ろし一歩下がった。
「お初にお目にかかります。八雲紫と申します。こっちは式神の八雲藍です」
藍はぺこりと頭を下げ、一礼する。
「本題なのですが、我々はあなた方自衛隊を侵略者であると認識しています」
「侵略者も何も勝手に連れて来られたんだが」
「勝手に連れて来れるような場所ではありませんよ。ここは外の世界のように開発が進んでいませんからね。欲しいのでしょう?資源と土地が」
ニヤニヤと不快な笑顔で紫は話す。
「資源と土地で戦争なんぞするかい。そんな理由で戦争したんは昔の話や」
雉沼が相当イライラしているのがこの場にいる誰しもが手に取るように分かった。
それはもちろん紫も分かっている。ワザとだ。
「明日の朝来ます。それまでに撤退していなければ…宣戦布告と見做して、攻撃を仕掛けますから」
それでは皆様、ごきげんよう
紫はそう言うと消えた。
いつものように"スキマ"を展開し、その中へ消えて行った。
後には山のように積み上げられた弾薬が残されているだけで、八雲紫がいた痕跡は足跡ひとつ残っていない。

自衛官たちは何か幻でも見ていた気分に捕らわれた。
こつ然と現れ、颯爽と去った女性はどこか華麗だった。
それが華麗な仮面を被った残忍な死刑執行人であることに誰も気付いていなかった。
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