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爆音を響かせUH-60ブラックホークが上空を掠めていく。
夜の闇に溶け込んだ都市は昼間の喧騒をすっかり忘れたかのように静まり返り、ブラックホークの爆音だけが響いていた。

******

雑居ビルの隙間で息を殺しブラックホークが過ぎ去るのを男は待つ。
ブラックホークは何かを探すようにゆっくりと飛行し、時折止まってはを繰り返している。

ブラックホークの爆音が小さくなり、遠くに行った事を確認すると、ビルの間に設置された従業員用のゴミ箱から這い出た。
文字通り鼻が曲がりそうな強烈な悪臭に耐えたが、もう限界だった。
男…クルスヨシヒサは背負っていたザックから濡れティッシュとグレーの作業服を取り出し、汚れた顔を拭き、生ゴミか服か区別がなくなった服を脱ぎ捨て作業服に着替えた。
そして、ブラックホークが戻ってくる事が無いよう祈りつつザックから箱を取り出す。
携帯電話よりも数倍大きく、一昔前の携帯電話より小さい、要するに無線機だ。
「(誰も出るまい)」
そう思いつつ、無線のスイッチを送信に入れる。
「雷神、こちら稲妻」
『……………』
「こちら稲妻。雷神応答を」
『……………』
「雷神、こちら稲妻。…現場作業に支障なし、取引先へ向かう」
『………こち…ライ…ン……解、取引…は………』
「(ジャミング!)」
咄嗟に無線を切り、ゴミ箱の影に隠れる。
直後に大通りを一台のバンが過ぎ去るが、車体にアンテナが設置されているのをクルスは見逃さなかった。
通信を傍受するのに特化した車両と考えて問題ないだろう。

ただ、さっきの通信を傍受されていたらブラックホークなり、歩兵なりが攻撃を仕掛けてくるハズだが、何も起きていない。
電波妨害していただけなのかもしれない。

*******

5分後
大通りはネズミ一匹通らない。
路駐している怪しげなバンもいない。

作戦指示書は作戦開始前に破棄してしまったが頭には入っている。
クルスはゴミ箱から頭を15センチ出し、安全を確認すると、大通り駆け抜け、道を挟んだ路地に転がり込んだ。
ブラックホークが戻ってこない事を再度確認したクルスはザックからサイレンサーを装着したMP5kクルツを取り出し、軽く構える。
ダットサイトを覗き各部を点検、異常はない。
「…任務開始」

遠くにブラックホークの爆音が聞こえる。
見付かればタダでは済まない。
肩からクルツをナイロンベルト下げ、路地を駆けた。
都市は夜の深い闇の底へ更に溶け込み、闘争の夜へと向かっている。
だがまだ誰も闘争の夜になるとは理解していなかった。
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