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2012.06.13 即興SS伍
何度見ても変わらない。
俺の番号はなかった。

******

憧れのあの人と同じ大学に行けるチャンスだったのに無駄にしてしまった。
歓喜に湧く群集に背を向け、この場を去ろうと一歩踏み出した。
「あ、あの」
声を駆けられた気がしたが、気のせいだろう。何せこの歓声しか聞こえない状況下で、一人の声など聞こえる筈がない。
「気のせいじゃありませんよ」
…どうやら、気のせいではないそうだ。
首を声のした方向へ巡らせる。

……誰?
女子高生だ。大学の合否発表なのだから女子高生がいても不思議ではないが…
俺の知り合いではない。
少なくとも初対面だ。
紺色の制服で左胸にはワッペンが縫い付けられているが、俺の学校の女子はこの制服ではない。

「あなたも落ちちゃいました?」
初対面でそんな言い方はないだろう。
「あぁ、落ちた。んで?誰?」
「私も落ちた人間です。落ちた人間同士仲良くしましょう」
誰だよコイツ。
会話になってねえよ。
「私はアナタの後ろで試験を受けていた者です。私は1246番アナタは1245番でしょう?」
確かに俺は1245番だ。
だからといって何で俺に絡んで来るんだ。
俺は早く帰りたいのに。
「いや、それ以前にお前誰だよ」
「だから、私は落ちた人間ですよ」
「落ちた人間が何の用だ?」
「だから…その……」
何だ?
急にモジモジしだしたぞ。
「あの…試験の時に筆箱忘れた私にシャーペンと消しゴム貸してくれたでしょ?」
そんな事もあったかな?
よく覚えてねえな。
「だから…その……一目惚れしちゃったんです!!」
………え?
「おかげで試験は手につかないし散々です。責任とって私と付き合って下さい」
なるほど。
よく分からんが、えらい事になってきている。
歓喜に湧いていたヤツらが、コッチに気付き始めたのだ。

女子高生は深々とお辞儀をしている。
見た目は悪い方ではなく、むしろかわいいに分類されるだろう。
今まで彼女いなかった俺にとってみれば大チャンスなんだが…

いや、まず言うべき事があるな。
「あ、あのさ」
「はい!」
潤んだ瞳でこちらを見る。
そんな目で見られるとドキドキする。


「あの~…。君は一体、誰だ?」
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