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え?
今回も私ですか?
次回は違うんですよね?
わかりました。
え?
はい、じゃあ始めます。




友達と遊びに行く。
高校に入るまで…否、篠田君たちと出会うまで絶対に有り得なかった。
休みは勉強するか、図書館に行くかしかしない子どもで、遊び友達なんていなかった。
夏休みなどは図書館と家を往復する毎日で、こんな風に買い物に行く事すらない。
大体、服を買いに行く事すらしないので、こういうカジュアルな服屋には初めて来た。
というか繁華街に来たのも随分久しい。
「香織は今日も制服か」
姫子さんが言った。
確かに私は学校指定の制服を着ている。
もちろん私服はあるが、制服は気が締まるし何より洗濯物が減るからだ。
「そんな事では女が廃るぞ。よし、ついでに香織の服も買おう」
そんなこんなで買い物がスタートしたという訳だ。
別に服なんて着れたらいいのに。


……
「沢山あるな…ここから選べというのは酷ではないか?」
「自分が欲しいのを選べばいいよ。姫子さんは……」
「姫子でいい。『さん』なんて付けるな」
今まで見たことない目だった。
怒りとは違う目だった。
「私は『様』とか『さん』とか言われるのが嫌なんだ。せめて友達には友達らしく呼んでもらいたい」
「じゃあ…姫子ちゃん」
昔何かあったのか、そんな事を考えてしまう。
無用な詮索はしない方がいい。
「うん、それなら……この話はもういいだろう。それより水着だ」
「水着はあっちだよ」
私が指差す方向には『水着』と書かれたプラカードが下がっている。
色とりどりの水着がマネキンに着せられ、正直水着か下着が区別がつかない程際どいものまで並んでいる。
「香織…これは、下着じゃないのか?」
「最近はこんな水着みたいだよ?私は水着とか買わないからよく知らないけど」
言ってから気付いた。
こんな事を言ったらどうなるかを。
「だったら香織も水着買おう」
予想通りだった。
「香織は……胸が大きいから、こんな水着のがいいんじゃないか?」
薦められた水着を見て一言。
これは水着じゃなくて紐。
最低限どころか殆ど見えちゃうでしょ!
「こ、これはダメ…!」
「やっぱりか」
わかってて薦められた!?
「こんなのはさすがにダメだ。香織が冗談の分かる人間で良かった」
試されたのかな?
「でも香織…あんまり奥手だとあのニブチンは気付かないぞ。そんな事では香織に勝ち目はないな」

何の事だろう。
奥手?ニブチン?
「香織は勇太にホの字のレの字のタの字だろう?見てればすぐ分かった」
ホの字のレの字のタの字?
『ホ』の字の……
「はぅッ!?そ、そそ、そんな事!」
「違うのか?みんな知ってたけどな」
ちょっと!?
そんな!?
「ボンヤリと勇太の方を見てたのを知っているぞ?因みに勇太は気付いてないがな」もうダメだ!死のう!今すぐ死のう!
「案ずるな。勇太に言ったりしない…狢なんだから」
「ああぁぁ…」
膝に力が入らない。
ヘナヘナとその場に座ってしまった。
びっくりしたの半分、安心したの半分で腰が抜けてしまった。
「絶対…絶対言わないで」
「もちろんだ。この大蛇姫子、命にかえても約束は守る……だから、勇太を悩殺出来る水着を買おう」
何故か救済の声に聞こえた。
実際、姫子ちゃんが慈母のような顔をするもんだから、神からの救済の言葉と錯覚してしまったのだ。
今思うと情けない話だ。

******

半畳もないであろう狭いスペース。
出入り口はカーテンで仕切られ、正面は鏡が貼り付けてある。
所謂、試着室だ。
今は姫子ちゃんが入って水着を試着している。
「…香織」
カーテンから顔だけ出して姫子ちゃんが言う。
「こんな感じなんだが」
オーソドックスなセパレートタイプの水着。
水着だというのに色っぽさが微塵も感じられない。
多分、似合いすぎているんだろう。
完全に体型が……いけない、いけない。
「すごい、似合ってるよ」
「だが、色気が感じられないんだが…」
気付いていたようだ。
「じゃあこっちはどうかな?」
胸に少しばかりパッドが入っていて、真ん中にリボンが縫い付けてある。
これなら、多少なり色っぽさは出るだろう。
色も淡いピンク色と女の子らしい。
「ふむ、今着ているのより幾分かはマシか。早速試着してみよう」

……
姫子ちゃんが試着室に引っ込んでしばらく経った。
…それにしても、バレていたなんて。
しかも、みんなに。
みんなって誰だろう…きっと、姫路さんや加西くんは含まれているに違いない。
ま、篠田くん本人に気付かれていないだけマシだけど。
マシ?何がマシ?
私は、私の気持ちは…
「香織、大丈夫か?気分悪いのか?」
「ひん!?」
…ビックリしただけ。
ビックリして思わず変な声を出してしまっただけ。
ただ、声を掛けられただけなのに…私はダメだなぁ。
「ホントに大丈夫か?どこかで休むか?」
「だ、大丈夫大丈夫。それより水着は?」
「あ、あぁ。こんな感じだ」
パッドが入っている分、心なしかさっきより膨らみがあり、リボンが付いているので大きさがあまり気にならない。
しかも、よく似合ってる。
凄まじく可愛い。
「…どうした?そ、そんなに似合ってないのか?」
「ち、違うよ。可愛い過ぎるから見惚れてたんだよ」
「か、かか可愛い!?……あ、ありがと」
何その反応!
可愛い過ぎるんですけど!?
なんで頬ちょっと朱いの?なんでモジモジしてんの?
何から何まで可愛い。
「う、うむ。私はこの水着にする。じゃあ次は香織の番だ」
無難なのを選ぶ―
「勇太が見蕩れるような水着にしないとな」
―ことは無理なようだ。
姫子ちゃんは試着室の奥へ引っ込むと、私服に着替えて出てきた。
私服姿も可愛いんだよなぁ。
最初会った時も可愛かったけど、今の方が可愛い。
なんというか、笑顔が可愛い。
「そうだな。香織はどれが似合うかな?」
「ひ、姫子ちゃん。布の面積は多い方がいいな」
露骨に残念そうな顔をする。
だが、そこは譲れない。
セパレートでもいいからせめて布はいる。
「じゃあこれは」
……布?
「前にマンガにあった水着と同じヤツだ。こう、V字に隠す仕様で―」
「ダ、ダメーッ!!」
それはダメ!
これ水着じゃないよ。布だよ。
「布面積は」
「あ、私はコッチのがいいなー」
→逃げる
的な感じでこの話は終わり。終わりったら終わり!
結局、ビキニを(半ば強制的に)選び、普段着を購入した。
制服のが楽なのに。

******

私の私服を買い、服屋を後にした。
…普通の服です。
時刻はお昼時、予定より早い。
「香織、どうする?少し時間が余ってしまった」
「う~ん」
普通の女の子はこういう時どうするんだろう。
生憎、私はハーキュリーズ以外に友達と行った事がない。
喫茶店かな?喫茶店でいいか。
「喫茶店でのんびりしようか」
「きっさてん?…うむ、香織が行くと言うならそうしよう」
幸いにここは繁華街。
喫茶店には不足しない。
早速、アメリカの自由の女神像っぽいロゴの店に向かって歩いた。
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