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休み時間に囲まれた俺は、殴られる前に親戚(嘘)である事を明かした。
「ややこしい言い方をするな」
「それでも羨ましい、殴らせろ」
…どのみち殴られる運命だったようだ


そして、放課後

初日の授業は無事終了。
飛騨、小野、俺、姫子の4人でだべりながら帰路についた。
だが
「とりあえずドリンクバー4つと僕はホットケーキ」
「勇太、この『チーズチキンドリア』を頼んでいいか?勇太の奢りで」
「晩飯食えなかったら母さんに殴られんぞ。こっちのパフェ(800円)にしろ」
「む…わかった」
「私はドリンクバーだけで」
「俺も」
「じゃ~、以上で」
「畏まりました。少々お待ち下さい。ドリンクバーはあちらですので、ご自由にお飲み下さい」
ここはファミリーレストラン『ハーキュリーズ』
姫路がバイトしているファミレスだ。
飛騨の思い付きで、姫子の歓迎会をする事になったからだが、わざわざ今日しなくてもいいのに。
「勇太勇太、この特製ハーキュリーズライスって何だ?」
「バカでかいオムライスだよ。あと、呼ぶ時に叩くな、地味に痛い」
この「勇太」って言ってる間に二回叩くんだよ。
「勇」で一回、「太」で一回。
つまり、「勇太勇太」で四回叩かれでいる。
四回も肩パンされたら地味に痛いんだよ。
「じゃ~、大蛇さん!」
飛騨が言った。
「は、はい!?」
「ようこそ!!」
……時は止まったようだ。
良かったな飛騨、日頃からザ・ワールドを会得したいって言ってたよな。
というか「ようこそ」の意味が分からん。
何がしたいんだお前は、でかい声出すから目立ってるし、姫子はビックリしてテンパってる。
ハァ…コイツ(飛騨)は無視してドリンクバーに行こ。

******

「篠田くん」
ドリンクバーで思案していると、声を掛けられた。
この呼び方は小野だ。
100パーセント小野だ、賭けてもいい。
振り返ると、世界で一番委員長職が似合う女子。小野がいた。まぁ賭けにならんわな。
俺には活字じゃなく音声なんだから。
「どした?」
「え?い、いや別に用って訳じゃないんだけど。ドリンクバーに行くなら私も行こうかな…ってだけで。呼んじゃダメだった?」
呼ばれただけで怒る奴がいるなら見てみたいモノだ。多分、ソイツは相当機嫌が悪いんだろうな。
「ダメな訳ねえだろ。ちょうどいいや、姫子と飛騨の分を運ぶから片方持ってくれ」
「はい。解りました」
返答に若干、違和感があったが面倒なのでスルーというか、これがいつもの小野なので気にもしない。
ペプシコーラ、ジンジャーエール、リプトン、ファンタオレンジ
4つのグラスを2つずつ持ち、飛騨たちがいるボックス席へ歩いた。
因みに小野との会話は以上で終了。

*****

飛騨と姫子が談笑している。
「………でさ、その時の勇太が傑作で…」
「うははは!本当か!?ヒドいな、それは!」
俺の話か!!
「何の話をしとるんだお前ら」
テーブルにグラスを置き、自らの席に着いた。
「ホレ、コーラ」
「しかと受け取った」
小野も席に着き、ファンタオレンジを飛騨に渡す。
「で?飛騨、さっきは何の話をしていたんだ?」
飛騨の動きが止まった。
持っているグラスが小刻みに震える。
おいおい、マジでどんな話してたんだよ。
「まぁ、いいじゃない」
「よかねえよ。馬鹿笑いされてんの俺だろ。なぁ、姫子よ。何の話をしてたんだ?」
「さあな。知らない方がいい事も……勇太、これは甲羅か?」
一口飲んでそう言った。
「ペプシコーラだ」
ペプシの入っているグラスを不思議そうに眺め、一口煽る。
口の中で転がし、まるでソムリエの如く味を確かめる。コーラ1つに大層なことだ。
「家で飲んだのと違う味だ」
「へぇ、わかるのか」
「似ているのだが、何かが決定的に違うんだ。それが何なのかが分からないのだが」
だが、味に満足はしているのかグラスのコーラを飲み干した。
「うむ、美味い!勇太、おかわりだ」
「ドリンクバーは自分で注ぐんだ」
「要領がわからん。教えてくれ」
仕方ない。
教えてやるか。
こんなサービスめったにしないんだからな。

******

いつもの会話で時間は過ぎていった。
姫子の(嘘の)身の上話をした後、普通の高校生がするであろう馬鹿話になった。
時計を見ると、時刻は18時を少し廻っている。
「あ、やべ。こんな時間か。帰るか」
「そうだね。私も帰るよ」
「まだまだ宵の口…と言いたいけど僕も帰るかな」
「おい、姫子…」
パフェを食べ、その余韻に浸る少女が1人。グラスを眺めウットリしている。
因みに食べ終わったのは15分程前。
俺のセリフは耳に入っていないようだ。
「はぁ…この世にこんな美味い食い物があったとは……」
「姫子、帰るぞ」
「……まったく、人が気持ち良く余韻に浸っているというのに。無粋な奴だな勇太は」
「無粋で悪うござんした。帰んぞ」
ブツブツ言いながら後ろを付いて来るのが分かる。
結局、姫子のパフェとドリンクバーの代金は俺が払った。
大した金額ではないけど…


……

「美味かったな。また行こうな」
飛騨たちと別れ、俺と姫子二人だけになった帰り道、姫子がニコニコ笑いながら言った。
夕日に照らされる姫子。
黒い髪は銅色に、白い肌は朱色に染まった。
見惚れる程綺麗だ…
呆れる程綺麗だ…
「聞いているか?」
こちらを向いた姫子と目が合いそうになり、咄嗟に違う方向をみる。
「き、聞いてるよ。また、ハーリキューズに行くんだろ」
「?…変な奴だ」
怪訝な顔をしているんだろうな。
誰がどう見ても今の俺は変だったろう。変に意識してるみたいに……いや、ないな。
有り得ない。絶対、有り得ない。
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