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ベッドの横に布団を敷いて寝ていた俺は、強い衝撃を受け目を醒ました。

「うぇっ!!げっほ!げほ!…いってぇ、何だよ、チクショウ」
俺の腹の上には自称、美少女:姫子が寝ている。
どうやら、寝返りを打った拍子にベッドから転がり落ちたらしい。そして偶然にも俺の肋骨にエルボーを喰らわせたのだ。
「チクショー。スヤスヤ寝やがって、コノヤロー」
時計を見ると5時30分を指している。
家を出るのは7時30分、随分早い。
だが、完全に目が醒めてしまった。両親はもう起きてるか?サッサと飯にしてのんびりするか。
「…邪魔だな」
スヤスヤ寝る姫子、重くはない。
だが、邪魔だ。
いつもは髪を両サイドで結んで、所謂ツインテールだが、寝るときは解いているのでロングヘアだ。
しかも、これで寝相が悪いのだから髪はクシャクシャになっている。
「おい、起きろ。姫子、起きろよ」
…起きない。
「起きろっつてんだろ」
頬を軽く引っ張ってみる。
…おぉ、コイツのほっぺた柔らかいな。雪見だいふくみたいだ。
ってまだ、起きない!
両側から引っ張ってみよう。
「……う~、はえ?いうた?…はにほひへひう(訳:あれ?勇太?…何をしている)」
あ、起きた。
「はにほひへひう。はたひのほっへはおはにゆえ、ひっはっへひう(訳:何をしている。私のほっぺたを何ゆえ、引っ張っている)」
何を言っているのかサッパリだ。
とりあえず離す。
「う~…ちょっと痛い」
不機嫌そうに頬を撫でる姫子。
…この動作、ちょっと可愛いな。
「で?何で勇太が私の下にいるんだ。…さては!」
「安心しろ、それはない」
「な、何も言ってないぞ」
「とりあえず降りろ。飯だ、パンで良いだろ?」
「ぱん?バンの事か」
何を言っているんだコイツは。バンって何だよ。
まぁいいや、面倒だし。


……
トースターで食パンを2枚焼き、イチゴジャムとマーガリンを持ってテーブルに並べた。
因みに親父たちはまだ寝ている。
「足りなかったらレーズンパンがあるからそれ食え」
「……鷭?」
「あぁパンだ」
「鳥じゃないのか?」
「……」
「バンは鳥だろう?池によく居る」
「これはパンだ。原料は小麦。肉は入ってない」
「…小麦?」
「いいから食え。今日はこれぐらいしか無い」
イチゴジャムを付け頬張った。
レタスとか卵でもあればサンドイッチでも作るが、何も無かった。
昨日、買い物をして来なかった姉貴の所為である。
「それはイチゴか」
姫子が瓶に描かれたイチゴの絵を指差しつつ言った。
「知ってるのか?」
「こんなイチゴは知らないけど『蛇苺』は知ってる。もっとこう…小さくて丸いんだ」
姫子は手のひらに小さな丸を描いた。
ふ~ん、蛇苺か…お笑い芸人なら知ってるな。
「うむ…美味い」
「そうか、なら良かった」
「ところで勇太」
「何だよ」
「何でこんなに早く起きたんだ?まだ学校は早いだろう」
俺は姫子が俺にした所業を話した。
ベッドから転がり落ち、俺にエルボーを喰らわせた辺りを多少誇張して話してやった。
「…なるほど。知らない内に勇太に仕返ししていたのだな」
「されてたまるか」
その後、飯を食い終わった辺りで母親が起きてきた。
だが低血圧の為、バイオハザードのゾンビみたいにノロノロ動いている。朝飯は今から30分後に作り始めるだろう。
「勇太…大丈夫なのか?」
「気にすんな。ただ、動きがノロいからってチョッカイなんてしてみろ、死ぬより酷い目に遭うからな」
「な、なるほど」
だから、今は俺の部屋が一番安全だ。

……
で、俺の部屋でまったり時間を潰す。

せっかくだし早めに出るか。
時刻は午前6時50分
姫子は転校生だから職員室に行かねばならんし、そろそろ出るか。
「うし、姫子。もうちょいしたら行くぞ」
「え?もう出るのか?早くないか?」
「お前、転校生だろう。通学路も分からんだろ」
「…そうか。じゃあ着替えるから外に出るんだ」
あ、まだ着替えてなかった。
俺も着替えないと。

……
リビングで着替えて、部屋に戻ると姫子は着替え終わっていた。
…そんな、Toloveるみたいな展開ねえよ。
あってたまるか!
「じゃあ行くぞ」
「弁当は?昼ご飯はどうするんだ?」
「食堂がある。金は貰ってるから気にすんな」
たまに弁当もあるけど、凄まじく手抜きだったりする。ヒドいと弁当箱に500円と手紙が入っていて、手紙には『買え』と一言書いてあるだけだった。
つまり、基本的に学食というわけだ。

さて、学校までは歩いて20分ぐらいかかる。
大半が平坦な道だが学校の手前に急な坂があり、そこだけで5分かかる仕様だ。
元々、城山だったそうで急な斜面はその名残だそうだ。
「…いつ見てもこの坂はすごいな」
最初に見たものにとって、この坂は壁のようなものだ。
実際、テスト前とか気分が沈んでいる時にこの坂を見ると、垂直の壁に見えたりする(加西談)
とはいえ、学校へ行くためにはここを突破する以外ない。
登るしかないのだ。

……
流石に城山だけはある。
建築後、すぐに落城したそうだが(姫路談)土地だけは一人前だ。
何が楽しくて毎日毎日、城攻めしなければならないんだ。ホントに。
「勇太、上まで走ろう。競争だ」
…アホかコイツは。
もしかしなくてもアホじゃないのか?
「…随分失礼なモノローグだな」
「だから読むなよ!」
「せっかく学校に通うのだから、初日は頑張っても良いだろう」
「その心意気は関心する。だが、止めとけ。陸上部でも登りきれるヤツは少ない坂だ。お前が登りきれる訳ないだろ」
姫子はムッと俺を睨んだ。
どうやら『登りきれる訳ない』にカチンときたらしい。
「じゃあ勇太より早く登りきったら甲羅を買え。…始め!」
そう言うと姫子は走っていった。
俺はゆっくり登ろう。
走ったりして転んだら損だろう。

頂上の少し手前でゼイゼイ言って歩いている姫子を軽く流しつつ俺は坂を登りきった。
「どうした?登りきれるんじゃないのか?」
「…………………」
話す気力も無いか。
…仕方ない。

3分後

「…ハ、ハハ、ハハハハ!勇太!見ろ!登ったぞ!!」
あ~、テンション上がってんな。
ランナーズハイってヤツか?
良かったな、週番のヤツらが居なくて。今のお前は相当痛いヤツだよ。
「よくやったな。ほら、やるよ」
「?…ナニコレ」
「コーラだよ。お前がしんどそうだったから買ったんだ」
実は姫子がゼイゼイ言ってる間に買っておいた。
いや、あまりに不憫だったから…
「勇太は優しいなー」
そんな棒読みで言われても嬉しくないなー
もっと心込めて欲しいなー
「やだ。何故、勇太如きにそんな事しなくてはならない」
「俺の扱い酷くねえ?」
「前からこんなんだ」
…これあれだろ?
泣きどころってヤツだろ?
泣くぞチクショー
「勇太、そんな事よりあれだ。職員室とやらに行くんだろ?」
あぁ、そうだ。
だが職員室に用があるのは俺じゃない。…姫子だろ。
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