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朝起きると姫子は居なかった。
綺麗に畳まれた布団。
まるで何もなかったかのような状態だ。


『明日、一度家に帰るからな。荷物とか色々あるんだ』
脳内を姫子のセリフが反復した。
あぁ、そういやそうだったな。
多分家ってのはあの神社のは事だろう。

ん?…荷物ってなんだ?
人間ならまだしも、アイツは人間じゃない(水道管を遠隔で吹っ飛ばすあたり)。
蛇の荷物ってなんだ。まさか、鼠だの蛙だったりしないよな。
そういうのは勘弁してほしい。

とは言え姫子が帰ってくるまで大分ある。
日曜日を満喫しよう。
そうと決まればまずは二度寝だ。
日曜日の朝7時に起きてもする事はない。9時頃まで寝よう。
では、お休み…

ヴー、ヴー、ヴー

…………………

ヴー、ヴー、ヴー

…………………

ヴー、ヴー
「うっせえよ!!何だよ!…電話!?」
携帯のバイブレーションらしい。
ディスプレイには"着信中"と"飛騨"の文字。よし、無視しよう。
電源ボタンを押し電話を切った。
因みに飛騨は俺の同級生だ。
さて、邪魔者は消えた。
寝よう。

…………………

ヴー、ヴー、ヴー

………

ヴー、ヴー、ヴー
分かったよ!!出るよ!
「もしもし!」
『何で?』
「あ?」
『何で一回目の電話切ったの?』
「うるせぇ。何時だと思ってんだ。二度寝する所だったんだよ」
『知ってるよ。僕は勇太の事は何でも知ってるよ。5時ごろに勇太の家からツインテールの女の子が出て来たとかね…勇太、あの子だ―』

ピッ

切ってしまった。
怖くなって切ってしまった。
因みに言うと飛騨は男だ。
声が女性声優さんが、少年を演じているんじゃないかって感じの声で、声だけだと女と間違えられる事がある。

ヴー、ヴー、ヴー

マジ怖えぇ!!
また、掛かってきた!
「…もしもし?」
『僕に言えないような関係なんだね?…分かったよ。今から行くから、お話ししよう』
飛騨はそう言って電話を切った。
…大変危険だ。
まず、玄関の鍵を施錠。
次に、雨戸を閉める。
他にも侵入経路を遮断。
どうだ、侵入出来るなら侵入してみやが―
「オハヨウ、勇太」
背後をとられた…だと?
「さぁて、お話ししようか」
恐ろしくて声が出ない!
俺、何にもしてないのに!コイツ男なのに何でヤンデレっぽくなってんだよ。
「あのツインテールの女の子は誰かなぁ?」
「お、俺の親戚だ。孤児になったからウチで預かる事になった」
「孤児って事は、死んでも誰も困らないんだね。…ふぅん」
待て待て待て!何を考えてる!!
「仕方ないよ…勇太の為だからさ」
こうなったコイツを鎮めるには、俺がセリフを言う必要がある。
簡単だがあまり言いたくないセリフだ。
「バカ、俺はお前しか見てないんだから心配すんなって」
「…勇太」
紅潮した顔でこちらを見る飛騨。
何度でも言うがコイツは男だ。
「流石の僕でもそれは引くわぁ」
…気付いただろうか。
「なぁ飛騨よ。いい加減このやり取り止めよう」
「別にいいじゃん。それとも…迷惑?」
「あぁ、迷惑だ」
つまり、さっきの「俺はお前しか~」というセリフを言わせたいだけの為に、あんなやり取りをしていたのだ。
「ガチホモでも無いのに何であんなセリフを言わなきゃならんのだ…」
「ホント、マジキモい」
コイツ殴りたい!
「で、何だよ?用も無く遊びに来たのか?」
「半分当たり。特に用も無いし暇だから勇太ん家行こうって小野ちゃんと加西と約束してたって訳」
俺の家を集合場所にするな!!
あぁ、小野も加西も俺の同級生だ。ちなみに小野は女、加西は男。
名前が同じなだけで兵庫県小野市、兵庫県加西市とは一切関係ない。
「で、勇太ん家で遊ぼうって訳よ」
「俺に連絡無いんだが」
「うん。してないよ」
しろよ!
「もうすぐ小野ちゃんが来ると思うけど」
「片付けるの手伝え!また、怒られる!!」
小野は所謂『真面目』『優等生』『委員長』という言葉が俺の知る限り世界で一番似合う人間だ。
以前、遊びに来た時に(小野的に)汚かったらしく、正座させられた挙げ句、めっちゃ怒られた。
「じゃあ僕はベッドの下の本を」
「それは姉貴の部屋に持ってけ、しばらく降りて来なくなるから」
小野に発情されたらめんどい。
ついでにコーラとプリングルスを置いとけば、夕方まで大丈夫だ。
「任された」


……
掃除し始めて30分後、小野が来た。
『朝早くにお邪魔します。小野香織と言います。篠田勇太君は御在宅でしょうか?』
クソ真面目に、呼び鈴のマイクに挨拶する小野。
こんな風に挨拶するヤツは珍しい。
飛騨は勝手に入るし、加西は勝手には入らないが玄関の土間で「ウーッス、お邪魔しま~す」で入ってくる。別に構わないが小野とは対極すぎる。
「開いてるよ~」
と飛騨。傍若無人過ぎる。
俺んちはお前の家かよ。
「お邪魔します…」
恐る恐る扉を開け、中を覗き込む。
「篠田くん、入ってもいい?」
「いいよ~、僕も入ってるし」
と飛騨。
「お前は篠田じゃねえ!!」
「将来的に」
「ねえよ!」
「ですよねー」
とことん俺をからかうのが好きらしい。
いっつもこんな感じだ。
「あの…入っていい?」
「あ、すまん。どうぞ」
「お邪魔します」

……
家に上がってもらったが、特にする事も無いのでファミレスに行く事にした(加西はそこで合流)。
歩いて10分、唯一のファミレスだ。
「姫路いるかな」
「早朝はいないって聞いたよ」
姫路も俺の同級生だ。
ファミレスでバイトをしている。兵庫県姫路市とは…もういいか。
「でも小野ちゃん…今日も服が」
小野の服。
紺のブレザー、紺のスカート、白いカッターシャツ、紅いリボン……すごく簡単に言うと学校の制服だ。
今日は日曜日である事は前述したか?まぁいいや。今日は日曜日だ。
「何でまた制服?今日、休みだよ」
「い、いや。その…あんまり私服持って無いし。一番無難かなって」
前に遊びに来た時も制服だった。
その時も同じ質問した気がする、飛騨が。

……
何だかんだしてる(主にグダグダ話しながら歩いている)間にファミレスに着いた。
一番奥のボックス席
ロン毛で体格のいい兄ちゃんが座っている。
「あ、やっと来たか。遅せえよ、何してんだよ」
ロン毛の兄ちゃんが言った。
「勇太とイチャイチャしてたら遅くなっちゃった」
「マジキモい」
「てへぺろ」
「…勇太も、こんなんのどこがいいんだよ。キモいだけじゃねえか」
「何で信じてんだ!有り得ねえよ!!」
「すいません、お客様。マジうるさいから黙れ」
随分と口の悪い店員が出てきた。
「姫路も言ってやれよ。勇太がキモくてキモくて」
「加西…アンタもそのロン毛止めな。人の事言えんよ」
ロン毛の方が加西、ファミレスの店員とは思えない口調なのが姫路。
2人とも幼稚園ぐらいからの付き合いだ。
「で?今日は何しにきたの?面白いなら5時間待ってよ」
「特に決まってないんじゃ…」
「突然、俺んちに来て遊ぼうだからな。ノープランにも程がある」
「まぁ、それは置いといて。…勇太ん家から出てきた女の子の話をしよう」
「「「!!!!!???????」」」
飛騨の一言で店内がざわついた。

…この後の事を会話から何から何まで書くと文字数がとんでもない事になるので、サクサクと進めよう。
まず、姫子の事を話した。容姿とかは飛騨が事細かに伝えた。
親戚である事は信じてもらえたが、同じ部屋にいる事がいけなかったらしい。
姫路に一頻り罵られた。
小野は茫然とお冷やを飲み、加西は「俺も彼女欲しい…」とボロボロと泣いた。
この後、激しい追求(大半が飛騨から)に遭い、俺が解放されたのは5時間後だった。
しかも、姫子の帰って来るのを俺ん家で待つ事になった。
せっかくの日曜日が遠く感じた。
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