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とりあえず水道は業者をすぐに呼んだので直った。
業者曰わく「こんな壊れ方有り得ない」らしい。
……ってそんな事よりもっと大事な事がある。
親父だ。


俺の親父は高卒で自衛隊に入隊した、現場叩き上げの自衛官だ。
詳しくは知らないがそれなりの階級らしい。
厳格って訳じゃないがルールは守らないと鉄拳は普通、運が良くてもビンタだ。
…そして、そんな親父が帰ってくる時間になりつつあった。

******

リビングでソファに座りながら如何に親父に言い訳するか考えたが妙案は浮かばない。
親父にボッコボコにされるとかそういう想像は容易なんだけど。まぁ、どっちにどう転んでも殴られるだろうな。
親父の鉄拳は何回か食らったが相当だった。それを何発もとなると……考えただけで血の気が失せたのが分かる。
まるで執行直前の死刑囚の気分だ。
「どうした?顔が青いぞ、悩みか?」
それこそ姫子の所為なんだよ。
俺、悪いことしてないのに…

―ガチャ―

玄関の開く音がした。
「ただいま」
この低い声。
親父だ。
「勇太、ただいま」
がっしりとした、如何にも自衛官といった体躯のオッサン。
まさしく俺の親父だ。
「おかえり」
「おう、じゃあ風呂入ってくるから。姉ちゃん呼べ、上がったら飯にするからな」
そう言って風呂場へ向かった。
死刑の執行はまだらしい。
きっと飯が終わってからだろう。
今日の飯が最期の晩餐になるとはな…
姫子が俺の肩を揺すり「今のは誰だ?」みたいな事を言っているが、テンション的に返答出来ない。
…とりあえず姉を呼ぶか。

*****

親父が風呂から上がると晩飯の合図だ。
全員がテーブルに着き、最後に親父が椅子に座って、いただきますをする…のだが。
「勇太勇太。あ、あれは何だ?」
鶏の唐揚げを、すこぶるいい笑顔で指差す。
知らないのか、蛇だから。
だが、ここで言うタイミングではない。
「いいから黙ってろ」
下手したら親父の鉄拳が飛んでくる。
「飯の前に…勇太、この女の子の説明を」
親父が言った。
説明と言っても、神の子だの蛇だの言えない。『お前ふざけてんのか』で鉄拳だ。
「私は大蛇姫子だ。勇太に酷い目に会わされて責任を取らせに来た」
…率先して自己紹介はいい事だ。だがな、言い方ってもんがあるだろう。
俺が犯罪者みたいじゃないか!
「勇太は私の面倒をみる形で責任を取るそうだ。これから世話になるがよろしく頼む」
えらく上からなよろしくだった。
「勇太…マジか?」
45歳のオッサンがマジとか使うなよ。
とか言ったら俺は鉄拳を食らった挙げ句、アンパンマンみたいに頭がもげるかも知れない。えらくグロい。
まぁ、ここは誠心誠意、頭を下げるしかねえよな。
「マジだ。親父には色々と迷惑掛けるけど頼む…この通りだ!」
「…勇太、頭上げろ」
「許してくれるのか?」
「許す訳ねえだろ、このアホ」
当たり前だな。
こんなんで許されたら苦労しない。
「1つ約束しろ、姫子ちゃんの面倒はお前がみろ。いいな?そんだけの事したんだ、一生賭けて償え。…もし、約束を破ったらボコボコにした上で即、自衛隊に入れてやる。もちろん俺の部下だ」
約束出来るなら許してやる

……殆ど許してねえよ!!
などと言えない。
しかし、この条件を飲まない訳にはいかない。
大体、親父が鉄拳なしに許してくれるのだ。奇跡としか言えない。
「…なんか失礼な事思ってねえか?」
「お、思ってねえですよ?」
見透かされていた。しかも少しテンパった。
もしかしてモノローグみたいにしていたけど口に出ていたのか?
それなら、俺は独り言をブツブツ言う危ない人じゃないか。
「安心しろ勇太、ちゃんとモノローグになってるから」
…姫子よ。お前はしれっとモノローグを読むな。グゥかお前は。
いや、突然来てめちゃくちゃな事言って一緒に暮らす羽目になった…
ハレグゥじゃね?
じゃあ俺はハレか?
「誰が胸毛ハンターだ!」
…よく知ってるじゃないか。
「俗世を知るためにマンガは沢山読んだ。もちろんジャンプは毎週欠かさず読んでいる」
俗世にまみれている!
ジャンプは知ってるのに唐揚げとかコーラは知らないのかよ!
知識、偏り過ぎだろ!!
「甲羅は知らないが唐揚げは知っていたぞ…名前だけ」
あぁ、名前だけね。
「で?勇太、どうする。約束守れるか?」
「約束する。絶対に破らない」
「よし!!じゃあ飯だ。いただきます!!」
『いただきます』

******

姫子は大食いだった。
この体のどこにあんだけの質量が入るんだってぐらい食った。
しかも、かなり食ったのに危うく俺の唐揚げを全部パクられそうになった(つまり殆どパクられた)。

「お前、あんなに食って大丈夫なのかよ」
食事が終わって風呂に入った姫子は、ツインテールに結わいでいた髪を解いてロングヘアになっている。
漆塗りみたいに光沢のある黒髪は、とんでもなく綺麗で正直驚いた。
リンスやシャンプーをしたことなかったそうだ。
因みにパジャマと下着は姉のお下がり。
変態(姉)は『わ、私の下着が姫子ちゃんの秘所を…ナニコレ、ヤバい』と言っていた。
お前の頭のがヤバい。

まぁ、変態はさておき。
何故か姫子は俺の部屋で寝る事になった。
もちろん反対したが姫子の独裁で決定、変態が泣き出したりするも決定は覆らなかった。
今は俺の部屋で寛いで(マンガを読んで)いる最中だ。
………
俺のさっきのセリフは軽く流されたらしい。
「なぁ、あんなに食って大丈夫なのかって」
「ん?なにがだ?あの程度で体調不良などにはならんぞ」
マジカヨ…
体ん中にブラックホールでも飼ってんじゃないのか?
普通に考えて有り得ない量食ってたぞ。
「それにしても唐揚げとは…ほわぁ~、素晴らしいな」
唐揚げでそんなウットリされてもなぁ。
美味いのは認めるがそんなにか?
「鼠だの雀だのとは比べ物にならんぞ。でも、蛙に近い味だったな」
比較対象がおかしいのは突っ込まないでおこう。

…さて、コイツの面倒をみる事になった訳だがどうしようか。
色々疑問から片付けるか。
「姫子、何点か質問するから答えろ」
「…チッ、分かった」
舌打ちしたよな?
今、舌打ちしたよな?そんなにマンガが大事か?
もう挫折しそうだ、コンチクショー。
「質問があるんじゃないのか?」
「……お前はナニモンだ?」
「ポケモンとデジモンでは無いとこは確かだ」
…誰がボケろと言った!
ポケモンとかよく知ってんな。ホントに蛇かお前。
って蛇がどうやってポケモンするんだよ。手ないじゃん。そうだよ、マンガもどうやって見るんだ。
「一々、五月蠅い野郎だ。切除するぞ」
何を!?どの部位を?
五月蠅いから声帯を切除するんですよね?そうですよね?姫子さん。
「作者がシリアス苦手だからほんわかした方向へ持って行ったんだろう」
メタ発言ヤメロ。
「まぁ、それは置いといて」
置いとくんだ。
「私は蛇で神の子。基本は蛇だが一部神格化されている。それが奇跡だ。それ以外はただの蛇だがな」
「なんで人間になれんだよ」
「蛇は賢い動物だ。人間のような単純下等生物など余裕で顕現できる」
……すまない。サッパリ分からない。
「つまり、蛇は自分の意志で体を変えられるって事だ。だからマンガを読んだり、ゲームしたり出来る」
とんでもなくスゴい事なんだが…それは奇跡ではないらしい。
とりあえずもういいや。めんどい。
次の質問
「まさか、他の人に蛇だの神の子だの言う訳にはいかんよな。位置付けはどうする」
「親戚という事にすれば良いだろう。遠い親戚の子、事故で両親を失って勇太の所に預けられた不幸な美少女…どうだ?」
…次だ(あえてスルーさせて頂く)
「俺は学生だ。明日は日曜だが明後日は学校がある。面倒はみるが学校にいる間はどうする?」
「その点は問題ない。然るべき措置を考えている」
「然るべき措置?」
「うむ。まぁその事で明日は一度家に帰るんだがな。荷物もあるし」
なるなど。
なら、大丈夫だろう。
じゃあ最後の質問だ。
「これからどうするつもりだ?」
「ん?勇太の世話になるつもりだが?」
「違う。それは短期的な意味だろう?長期的な話だ。10年とかそんな話」
「…分からない。そんなものその時にならないと分からない」
…確かに、これは明確な答えは無理だな。
質問が悪かった。忘れてくれ。
「それに、もう決まってるようなものだ」
「なんか言ったか?」
「何も言ってない。バカじゃないのか?」
言ってくれるじゃないか。
読者様に分かりやすくするために活字にしているが、俺には聞こえなかったんだからな。
「とにかく!明日、私は夕方までいない。それまでにこの部屋を片付けろ」
……
溜め息を吐きたくなった。
これから、この姫子お嬢様と暮らしていかねばならぬと思うと、溜め息ぐらい出るさ。
もう、いいや。寝よ。
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