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とりあえず姫子は何なんだ?
話はそこからだろう。

雨に降られる事無く家に着いた。
雑誌たちを姉に預け、姫子に入手した事を訊こうと思ったが姉も姫子も俺の部屋には居なかった。
どこだ?リビングか?
もしかしたら姉の部屋かもしれなかったがそれは無いだろう。
散らかり放題だからだ。
初めて見たらドン引き…いや、即刻、Uターンするだろう。
姉もそれを自覚しているだろうしリビングにいる筈だ。むしろ、そうであってくれ。
「勇太ぁ?帰ったぁ?」
姉の声だ。
リビングから声がしたから姫子もリビングにいるんだろう。
少しホッとした。
とりあえずリビングへ。

******

「知佳。これはなんだ?」
知佳は姉の名前だ。
テーブルにはコーラが入ったグラス。
姫子はそのグラスに穴が空くんじゃないかってぐらい見ている。コーラを知らないのかもな。
「それはコーラだよ。飲んでごらん」
「コウラ…飲み物なのか…………」
そんなに口に含んで大丈夫か?
それ、開けたばっかりだろう。
「……ぐぅ!な、なんだ!?爆発したぞ!!」
「姫子ちゃん、可愛い…」
「え?」
「よ、良かったら私の部屋においで。大丈夫、何もしないから」
それは、何かするヤツの台詞だ!
「バカやめろ。本持って消えろ、このクズ」
あからさま不機嫌そうな顔をして姉は自分の部屋へ帰った。もちろん雑誌を持って。「勇太はドM」
捨て台詞を置いて行きやがった。
…さて、さっきからコーラをチビチビ飲んでいるコイツに話がある。
「ほぉ~!甲羅とやら美味いな。おかわり!」
「もうすぐ飯だ。我慢しろ」
あと、甲羅じゃなくてコーラな。
「…ケチ。勇太のドマゾ」
「ドマゾ!?なんだそれ!?初めて聞いたぞ」
「知佳が言っていた。勇太はマゾだって。ところでマゾってなんだ?」
「マゾってのは痛めつけられて悦ぶヤツの事だ」
「…………」
何だよ。質問に答えただけじゃねえか。
何でドン引きしてんだよ。
「俺の事じゃねえぞ!」
「あぁ、そうだな…大丈夫だ。勇太がどんな趣味でも気にはしないからな」
「その時点で気にしてるし、大体俺はマゾじゃねえよ!」
「そうだ。今日の晩御飯はなんだ?」
「急に話を変えるなよ」
「いいじゃないか、気にするな。ハゲが進行するぞ」
ハゲてねえよ!!
…疲れるわ。
あれ?何を言おうと思ってたんだっけ?
あぁ、そうだ。
「オオヘビ様だ」
「……」
さっきまでの表情とは打って変わって真剣な表情になった。
「どうした?」
「どうしてそれを知っている?」
「へ?」
「オオヘビ様は高天原の住人しか知らない呼称だ。どうして知っている!」
豹変だな。
元々釣目だが更に釣目になってるし……目が、人間の目じゃない。猫…いや、蛇の目だ。
俺は本屋の帰りに神社に寄った事、境内でオッサンに出会った事、そのオッサンに蛇神信仰とかオオヘビ様とか教えてもらった事を説明した。
「なるほど…そいつは関西弁だったか?」
「あぁ」
「分かった。知ってしまったのなら仕方ない。…オオヘビ様は私のお父様だ。多分そこに居たのはお父様の部下で私の世話役、金閣だろう」
「………」
予想はしていたが、オオヘビ様は姫子の父親。つまり姫子は―
「神の子?」
「そういう事だ。言ってなかったか?」
「いや、多分言ってる。信用しきってないからな」
「……そういうことはサラッと言うもんじゃないぞ。信用してないとか傷つくじゃないか」
姫子はショックを受けたようだ。若干、涙目になって居るのは気のせいだろう。そんなんで泣くわけないよな。
俺が言いたかったのは姫子を信じるとかじゃなくて―
「神とかそういうのは信じてないって事だよ」
「…え?そ、そうか。そういう事か」
そんなに嬉しいのか?
「と、とにかくだな。私は神の子、お父様程ではないにしても多少力は持っているんだ」
「神の力ってなんだ?」
「所謂、奇跡だ。私は水に関する力を持っている。例えば…」

パンッ

何かが弾けるような音がしたかと思うとキッチンから母が駆けてきた。
「水道の蛇口が炸裂したよ。元栓締めてくるから雑巾持ってきて、なるべく沢山ね」
恐る恐る姫子を見ると得意気に笑っている。
まさか…
「蛇口の蓋を水圧で吹き飛ばした」
そんな笑顔で言う台詞じゃねえよ。
俺はキッチンの現状を確認すると雑巾を探しに押し入れに向かった。
一枚や二枚では確実に足りないだろう。
ようやく、事の重大さに気付いた姫子は青い顔で言った。
「ゆ、勇太…もしかして、やり過ぎたか?」
「もしかしなくてもやり過ぎだ。蛇口をぶっ飛ばすヤツが居るか」
「す、すぐに止めてやる」
「バカ!勝手に止まったら怪しまれるだろうが。いいからじっとするか雑巾で床拭け」
なるったけ雑巾をかき集め、キッチンを拭いた。姫子は床に飛び散った水を蒸発させようとしたが止めさせた。
怪しまれるからだ。
…しかし、水の奇跡ってこんなのにしか使えないのか?
もうちょい使い道あるだろうけどなぁ。
まぁこの、神の力はしばらく封印な。

キッチンは水浸しだが、なんとか夕飯は無事だった、だがこの日ほど後にも先にも夕飯が来て欲しくない日はなかった。
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