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もし、この世の理全てを知る賢者がいたら俺は訊きたい。
この子は一体誰なんだ。
俺はこの子に何をしたんだ。

…まぁそんな賢者とか大賢者は居ないし、居たとしてもそんな事は訊かないだろう。
もっとこう、現実的な質問するさ。
ってそうじゃなくて、今は俺の目の前に居る女の子の方が重要なんだよ。
場所をリビングから俺の部屋へ移し話し合う事になったのはまぁいい。
だが、俺とこの子だけってのは如何なものか。
俯きっぱなしの女の子。艶々した漆黒の髪を両サイドで束ね(所謂ツインテイル)、紺色のスカートと上着が同じになった(所謂ワンピース)をお召しになっている。
「…篠田勇太だな?」
女の子がポソッと言った。
蚊の鳴くような~とはまさにこの事だ。
正直何を言ったのかちょっと分からなかった。
「あ、あぁ。ところで誰?」
「ふ、ふふふ…漸く、漸くここまで来た」
黒い髪を揺らし顔を上げた女の子はニタニタ笑っている。
おいおい、何だ何だ?
頼むぜ、話に付いていけんよ。
「勇太が私を知らなくて当然だ。この"姿"で会うのは初めてだからな。但し初めましてではないぞ」
ちょっと、マジで付いていけない。
どうしよう。この子怖い。
「とにかく勇太は私に謝罪し罪を償ってもらう。選択肢は2つだ死ぬか生きるか」
「ちょ、ちょっと待てよ。俺が何したってんだよ。しかも…誰?」
「私は『大蛇姫子』だ。お父様はあの大蛇勝利だぞ」
どの大蛇勝利だよ。知らねえよ。
そんな得意気に言われても知るかよ。
「あ~…姫子ちゃん?俺は君に何をしたのかな?」
「何か悪い事をした記憶は?」
まったくない
「ホントに?」
ホントに
「嘘だろ?」
嘘じゃねぇよ!もとより俺はこの…姫子だっけか?うん、面識がねえよ。
「あぁ、そうか。分かった。…3年前の夏、神社横の空き地で蛇を見なかったか?」
3年前…三年前…参年前…
必死で記憶の糸を手繰り寄せ、『3年前』『空き地』『蛇』のキーワードで検索をかけた。


3年前

中学二年でバレーボール部だった頃だ。
俺は部活が終わって自宅に帰る途中に神社でのんびりするのが好きだった。
宮司や巫女が常駐している訳では無いので静かで日陰が多く夏場の避暑にはもってこいだ。
「はぁ~…どっこいしょ」
倒れ込むように日陰に座った。
吹き抜ける風も涼しく、まるで季節が違うかのようだ。
麦茶で喉を潤し、少し昼寝しようと思ったときだ。
「タカちゃん!蛇!蛇!」
「蛇!すごい!長い!」
神社の外からそんな声が聞こえた。
気になって見に行くと近所の子供が騒いでいる。このクソ暑いのにご苦労な事だ。
「なにしてんの?」
俺が訊くと子供らはニッコニコしながら道の先を指差し言った。
「蛇!」
「あのね!あそこにね!蛇がね!いるの!」
確かに蛇が道路を横断している。
まだ小さい子供の蛇だ。
放置したら子供に弄ばれ殺されるかも知れない。そう思った俺は蛇を捕まえ夏草が生い茂る空き地へ蛇を放り投げた。
蛇は四回転半して夏草の中に消えた。
「あ~。蛇が」
「あの蛇は毒蛇だからな。咬まれたら死んじまうぞ」
もちろん嘘だ。
だが子供たちは顔を蒼くさせ逃げて行った。
神社周辺は再び静かになり、俺は昼寝しようと境内に戻りのんびり過ごした。


時間は戻って現在
「あぁ、思い出した。蛇いたなぁ、危ないから逃がしたヤツ」
「その蛇こそ、私だ」
…………
おっと、今、時間止まったな。
何だって?
「私は大蛇家の者だ。つまり普段は蛇だが顕現することで人になれる」
……先生、意味が分かりません。
普段は蛇?人になれる?顕現ってなに?
どういうことなの…
「頭の弱い勇太にも分かり易く説明すると。私は神のようなものなんだ。神なのだが神ではない」
必死で説明しているが、すまない…サッパリだ。
「まぁ、神か否か云々は置いといて。その神の体に触れ、放り投げた挙げ句、神社の境内で昼寝など言語道断だ。分かるか?」
つまり、俺が3年前にした行為が神の怒りに触れたという訳か?
「その通りだ」
「モノローグを読まないでくれ」
「そこで私は私を汚した奴を徹底的に調べ、2つの選択肢を携えて来たわけだ。さぁ責任を果たせ」
責任って…まるで、アレみたいじゃないか。俺、そんな事してないよ。
「責任…とってよ」
上目遣いでそんな事言ってもダメです。
ていうかヤメテ下さい。
「おかしいな?お母様に『男は上目遣いに弱い』と教わったが勇太には効果無しか?」
効果無しという事にしておいてくれ。
ってそんな話しじゃなかっただろ。
「死ぬか生きるかだ。選べ」
「死ぬのは分かった。生きるってのはどういうことだ?」
「……い、今はいいだろう。時期が来たら教えてやる」
だから、それを教えろよ…
あ~…もういい。
分かった。
「生きる方でいい。死ぬのはゴメンだ」
「ふむ、分かった。勇太の選択肢、理解した」
姫子はそう言うと立ち上がり、踵を返すと部屋から出て行った。
帰ったのかな?それだといいけど、こんな時思うようにいかないもんだ。
しばらくして、リュックサックを背負い戻ってきた。
「これから世話になる」
な?思うようにいかないだろ?
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