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もふく【喪服】
喪服(もふく そうふく)とは 葬儀や法事などに参加する際に着る礼服である 藤衣や喪衣(もぎぬ もごろも)などとも呼ぶ

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藍坂と伴に売店に行き、制服と浄霊具の支給をしてもらった。そして桐山が使っていた部屋を与えられた。
「我が隊は員数が少ないので個室があります。アナタはこの部屋を使いなさい」
…使いなさいって言っても何にもないじゃないか。
逆に凄いわ、スチール製のベッドと事務机、スチーム暖房しかないとか…刑務所だなまるで。
「…しかし、見事に何も無いですね」
「へ?どういう事?」
「桐山さんが退官する直前に私物を処分したんです。本棚とか布団とか色々」
つまり、以前は普通の部屋だったが色々捨てたら何にも残らなかったと…
支給品がベッド(布団なし)と事務机だけって…ここに俺は住むのか?
「いくらなんでもここで寝るのは…」
「布団は持って無いですよね?」
ですね~
死にたてホヤホヤのヤツが持っている訳ありませんよね~
「布団の衣料点数は八点…予備の制服が買えなくなりますね…仕方ありません、私の使ってない布団を貸してあげましょう」
「え~…それはサイズは大丈―」
「それはどういう意味ですか?私がチビだと背が小さいと身長が小学生クラスという意味ですか?」
メーデー、メーデー。コンチクショー、地雷を踏んだ。
「サイズは…身長が突然伸びてもいいように大きめを買っています…」
スンマセン!マジ、スンマセン!!
そんな辛い事言わせてマジ、スンマセン!!
「それだけじゃないぜ、ユウ君」
廊下から声がしたので見ると姫野がいる。腕を組み、体重を壁に預け悪い笑顔。多分本人はカッコいいと思っているんだろう…そうでもない。
…てか、ユウ君って?
「実は雛ちゃんは急に成長してもいいように制服もワンサイズ大きめ、ブラに至っては――」
「姫野さん!」
藍坂が割り込む。
「……売店で好きなモノ買って来なさい…私の奢りです…」
苦虫を噛み潰したような顔で姫野に「壱万冥銭」と書かれた紙を渡す。
目をキラキラ輝かせ姫野は「やったぁぁああ!!」と叫びながら売店へ走って行った。
…きっと聞かなかった方が良かった内容に違いない。
「と、とにかく。布団は貸します。後は…タンスと棚が要りますね」
制服を掛けるハンガーも欲しい所だ。
「棚は材料を貰って来るので自分で作りなさい。タンスは…仕方ありません、私が何とかしましょう」
「何とか?」
藍坂は口角をクイッと上げ言った。
「私は顔が広いですからね」
頼もしい…のか?
まぁ、俺はよく分からないし任せておこう。

***************

藍坂に制服(喪服にしか見えない)に着替えるように言われた為、着替える事にした。
だが問題が発生した。
……ネクタイだ。
俺は中高と詰め襟の制服だったからネクタイの必要が無く結び方を知らないのだ。
いや、マジで知らない…どうしよう…
「着替えましたか?入りますよ?」
扉の向こう…つまり廊下から藍坂の声がした。
当然だが着替えている間外で待って貰っている。
「え?あ、あの。それが…」
「?…どうしました?まさか入らないとか…」
断じて違う!
サイズは合ったのを選んだんだ。ものの数分で太ってたまるか。
「それが…ネクタイが…」
「ネクタイ?回らないんですか?」
だから太ってない!
「結べないんですね?」
そう藍坂の声がした直後、扉が開いた。
少し残念そうな表情をしている。
「仕方ありませんね…貸しなさい、結んであげます」
藍坂は俺からネクタイを奪うと俺の正面に立った。
「屈みなさい」
腰を少し落とす。
「まったく…ネクタイぐらい結べないでどうしますか…最近の学生は『ぶれざー』らしいじゃないですか。ネクタイもセットなんでしょう?」
「いや、俺の学校は詰め襟だったから」
「あぁ、それじゃ仕方ないですね」
藍坂は器用にネクタイを結ぶ。
しかし、俺からは藍坂の頭しか見えない。
位置が悪いのだ。
藍坂は俺の胸ぐらいまでしか身長が無い、そこでネクタイを結んでいるから正直何も分からない。
「ひーなちゃん!ユウ君の歓迎ーかかかかかかか」
姫野だ…まぁ言わずとも分かるだろう。
女の子が男にネクタイを結んであげる、まるでアレなシーンだが。こんなタイミング良く来るとは…どっかで見てたんじゃないのか?
「かかかかかかか…」
部屋を覗き込んだ体勢で完全に停止し意味の分からない言葉を発している…フリーズ?
CPU容量の足りないパソコンかよ。

姫野が認識しているか甚だ疑問だが、顔を真っ赤にした藍坂は確実にテンパりながら言った。
「こここ、これは罰です。言葉遣いを直さない罰です!」
ネクタイの結び目を限界より更に上にあげ、首を絞めあげた。
そんなデレ要らないって!しかもなんて力してんだよ!?
「ちょ…絞まってる絞まってる…」
「かかか……イ、イベントキタ━━!!!!やっべー!!ナニコレ!!新婚サンデスカー!?カメラカメラ」
フリーズから再び正常(?)に動きだした姫野は携帯のカメラで撮影を始める。まるでロードしてたみたいだ。
って撮影してないで止めて!姫野さん、このちみっ子止めてぇ!!
「藍坂さ…ん。…絞まってる」
「ハッ!す、スイマセン。大丈夫ですか!?」
酸素を肺に吸い込み、酸欠で苦しんでいた脳に送り込む。
…あぁ、息が出来るってなんて素晴らしいんだ。
………待てよ?何で死んだのに息が出来るんだ?
「ふぅ…ごちそうさまです。お姉さん、お腹いっぱい、胸いっぱい」
そう言って姫野は消えた。
ちょっと待って。あの人絶対勘違いしてるよ。
カメラで撮ってたから見せびらかしたりするに違いない。
阻止!絶対阻止!

走りだそうとした瞬間、上着の裾を引っ張られ緊急停止する。
見ると床に座り込んだ藍坂が裾を引っ張っていた。
「ス、スイマセン…今頃腰が抜けてしまいました……立たせてくれませんか?」
はぁ…
仕方ない、仕方あるまい。
ここで見捨てる訳にはいかないだろう。
俺は藍坂に肩を貸し立たせた。…あの人、見てないだろうな?

******************

「姫野さんは放っておきなさい。今頃、樫山さんから怒られているでしょう…まぁ、怒られても気にするようなタマじゃありませんが」
スカートに付いた埃を払いながら藍坂が言う。
「さて、待機所に行きますか」
待機所に行く前に訊きたい事がある。
「なぁ、俺たちは死んでるのに何で息してるんだ?」
藍坂は振り向きもせず言った。
「…それは答えのない矛盾です。機動隊に除霊されますよ」
えぇーっ!?
ちょっと、マジカヨ。
「というのは冗談で、魂は死んでいない訳ですから生命活動していても不思議ではないですね」
そういうもんなのか?
「現に私たちは呼吸をしています。傷付けば血が出ます、お腹もすきます。死ぬ前とそんなに大差は無いんですよ…但し老いる事はありません」
そういうもんだと割り切ろう…
あんまり深く考えても仕方ない…分からない事だらけだった。
「待機所へ行きますよ。今日はアナタの歓迎会ですからね」
時間は午後5時を10分ほど回ったところだ。
階下から姫野の楽しげな声が聞こえる。
『定時を過ぎたぜ、フッフゥー!』とか聞こえる。
……これでいいのか?
俺はこれでいいのか?
…………まぁ、いいか…
なるようになれば…
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