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同日 18時5分
村の公会堂

ここ河上村は周りを山と川で囲まれた小さな村だ
西側に河西町、南側に河下町が存在し、その町はある程度発展しているのだが河上村は少し前まで余所者を排除し続け大して発展もしないまま現在に至る
そんな時に河下町と河上村との間に自衛隊の駐屯地を建設する案が出た
河下町の道路工事を自衛隊が引き受ける代わりに駐屯地を建設するという案だった
もちろん、反対もあったが河下町議会で可決され、河上村は9割が反対派だったが賛成派が無理矢理可決し駐屯地が建設されたのである

村には絶対唯一の神がいると信仰され、それは随分と昔…江戸時代よりも古い
その昔、この地を鬼が闊歩し村を荒らしていた時代があった
人々は鬼を討伐できず、田畑は荒らされ、抵抗する者は村人の目の前で八つ裂きにされた
鬼たちの要求は遂に村の女たちに向き、問答無用で若い女たちを強奪された
ある日、村を訪れた僧が村人が泣いているのを見て理由を訊くと鬼に娘を盗られたと嘆いている
僧はそれを聞くと憤怒し、村人が反対したが鬼を退治すると言って根城に乗り込んだ
村人は待てども待てども、僧も鬼も村に下りで来ない
鍬や鎌で武装した村人が鬼の根城へと向かうと辺りには酷い臭気が立ち込め血や内臓がべったりと地面に張り付いている
更に奥には一際大きな鬼の死体と僧の死体が転がっていた
村の女も無事に見つかり、村人は僧を村に運び厚く弔った
その晩、宮司の枕元に僧が現れ言い残した
『鬼がまた入らぬようにしなさい。村を守るように川を造りました、川を渡る橋は1つして鬼が現れたらそこで食い止めなさい』
朝、宮司が村の外れに行くと確かに川があり完全に隣村と通行する手段が無くなっている
宮司は言い付け通り川西村との間の川に橋を1つ架けた
宮司は更に僧を村の守護神として祀った。その内、僧は絶対神として祀られ大年様として祀られることになる
それ以来村は平和で村人は幸せに暮らしました

という何処にでもありそうな民間伝承が信仰され現在も信仰されている

「堀田の爺が逮捕された」
「またジエイタイに喧嘩売ったか」
「そんな事せんでも祟りがあるのにアホな爺じゃ」

薄暗い部屋に8人程の男がいる
すると、突然部屋の奥にある祭壇の蝋燭に火が灯った
男たちは祭壇に向かって突然土下座を始めた

川上村の昔話には続きがある
しかし、あまりにも残忍なので語られていないのだ
ある年の新嘗祭の前夜、大年様を祀る神社の宮司がおかしな夢を見た
大年様の格好をした鬼が現れたのだ
どうやら大年様と戦った鬼の魂が突然融合してしまったらしい
鬼は村の繁栄と平和を約束した
しかし、新嘗祭には新米と生け贄を捧げるように要求した
宮司は朝、祭壇に祈祷したが新嘗祭に新米だけで生け贄を捧げなかった
すると、宮司は次の日の朝に八つ裂きにされて絶命しているのが発見され、村人は生け贄を毎年新嘗祭で捧げるようにした
皮肉な事にそれによって村は平和が保たれている

「おい、早よう竹田の巫女と宮司を呼んで来い」

真っ青な顔をして1人の短髪の男が公会堂を出て神社の社務所へと走る
社務所はすぐ近くだ
というか公会堂と神社は隣接していて社務所もほとんど同じ敷地内にあると言っていい

しばらくして公会堂に宮司と巫女が真っ青な顔で飛び込んできた
宮司が息を弾ませながら祭壇に一礼する
息が少し落ち着くのを待ってから口を開いた

「ヲヲトシ様、まだ新嘗祭には早うございます。贄も不作で御座いまして―」

風切り音がしたかと思うと宮司の左小指が血飛沫と共に宙を舞った
銃の薬莢が転がるように小指は床を転がる
血が床に落ち血溜まりを作ったが突然生き物のように動きだし文字を書き始めた

『自衛隊』

巫女も男たちも黙ってそれを見た

『ヤツらが穢れを持ち込んでおる』

血は更に文字を書いた

『ヤツらを捕らえて奉納せよ』

巫女は足袋や巫女服に飛び散った生暖かくヌルヌルする血を気にせず祭壇に向かって一礼すると御神酒を供える
蝋燭の火が一層大きくなる
公会堂には宮司の痛みをこらえた声が響いた

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