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今日、ぼくたちのまちは、へんなふくをきたおじさんにこわされてしまいました。
おじさんはひらべったい黒いぼうをもっていて、先から火がでました。
あとひらべったい車で家をこわしながら走って行きました。
お父さんとお母さんはにげるとちゅうではぐれてしまいました。
とてもさみしいので早く会いたいです。

パトンで生き延びた少年の日記より
ガチャガチャとやかましい音をたてて無限軌道の装甲車がフェンスで囲まれた土地へと吸い込まれて行く。
アルビス国サンライド陸軍基地と呼ばれる場所だ。今や平和であったアルビス国も隣国のゴルギスタン王国の攻撃により戦争状態に陥っている。
ゴルギスタン王国は友好の印にとアルビス国へ皇女を嫁がせた。しかしアルビス国内のこれを良く思わない組織による陰湿な嫌がらせなどで次第にゴルギスタン王国と険悪になり初め、嫁いだ皇女への直接の嫌がらせ(主に姑)などが明らかになると、ゴルギスタン王国右派から開戦論が浮上する。
そして5日前に国境の街パトンへ攻撃を開始、サンライド陸軍基地まで30kmと迫っている。


サンライド陸軍基地

ゴルギスタン軍を迎え撃つべく基地には戦車や装甲車、ヘリコプターなどが次々と配備されている。元々サンライド基地は対空ミサイルの陣地で戦車やヘリコプターは配備されていなかった。しかし5日前の戦闘でパトンを含め6つの街を占領され150kmも進撃したゴルギスタン軍を迎撃するにはサンライドに配備するしかなくなったのだ。そしてサンライドは今や最前線の陣地になってしまった。

独特の甲高いサイレンが基地内に鳴り響く。
「敵機来襲!敵機来襲!」
「敵、対戦車ヘリコプター8機!」
「対空機関砲用意!射て!」

ドドドドドド、と30mm機関砲が火を吹く。
しかし自動照準でない砲弾はヘリコプターの後ろを掠めるようにして飛んでいき見当外れな所で炸裂する。

一方ヘリコプターはスタブウイングに搭載しているロケット砲からバシュッという音を出しながらロケットが射出され基地の地面を掘り返していく。対空機関砲のすぐ脇に着弾し、射手をバラバラに吹き飛ばし、ついでに機関砲も吹き飛ばした。

ドン!ドン!と腹に響く音をたてながらロケットが基地を攻撃する、配備したばかりの戦車や装甲車が炎に包まれ、避難させようとした兵士も共に焼けていく。
バババババババと機銃を逃げ惑う兵士に浴びせて廻る。これではまるで虐殺ではないか。
ロケットと機銃撃ち尽くしたヘリコプターは反転、自分たちの本拠地へと帰投していった。

「イテテ…中隊長大丈夫でしたか?」
防空壕から平原使用の迷彩服を着た大柄の男が出てきた。
「大丈夫だよ。それにしても凄かったな、ロケット砲と機銃掃射の嵐だ」
同様の迷彩服を着た小柄な男も出てきた。
どうやら小柄な男の方が中隊長のようだ。
「うへぇ…酷いもんですな。配備したばっかりの戦車が粉微塵だ」
負傷者を運ぶ担架は後を絶えない、負傷者の呻き声がさざ波のように聞こえてくる状況で中隊長…ドナルド・イロコイ大尉は気分が悪くなった。

アルビス国は長年平和で大尉も含め今の兵士の100%が実戦経験がない。そんな軍が現在進行形で戦争をしている。満足に戦えてないのが現状だ。

「隊長、大丈夫ですか?顔色が…」
部下の兵士が気遣う。
「すまん…少し気分が…」
バラバラでぐちゃぐちゃの死体や腕や脚が吹っ飛ばされ血まみれで呻く負傷者を見ていれば誰でも最初は気分が悪くなるものだ。
「しかし、本物の戦争なんですねぇ。いつまで続くのやら、勝てるんですかねぇ」
「伍長、口を慎め。我々が勝つまで戦争は続けるんだ」
肩章が少尉の兵士が伍長に注意した。
「分かってますよ、少尉殿」

「第1中隊は全員集合だ!点呼!」
攻撃を逃れた隊員がゾロゾロと集まる。
「中隊長、無傷の隊員は106名、死傷者は30名です」
と、中尉は4分の1近くの隊員が負傷し治療を受けている現状を報告した。
「中尉、司令は何か言っていなかったか?」
呼ばれた中尉は首を振りながら話す。
「いえ、何も言われておりません」
「そうか、分かった。下がっていい」
イロコイが部下に装備の点検を指示している時だった。 突然、基地の拡声器がガリガリとノイズを出した。
「あーあー、こちらは基地司令ハルコネン中将だ。各隊員聞こえているか?先程の攻撃でかなりの被害が出たとの報告が入った。各中隊長は早急に各自の隊員の確認及び本管へ報告せよ」
ガリガリというノイズとハルコネン司令のダミ声を拡声器は撒き散らす。
「ちょっと行って来るよ、俺が帰ってくるまで負傷者の収容を手伝ってろ」
イロコイが各小隊長に指示すると4人の小隊長はビシッと敬礼をして部下に命令を伝達する。
イロコイが司令室のドアを二回ノックする、中からの返答を確認し部屋に入る。
ビシッと敬礼をしながら挨拶

「第22歩兵連隊第1中隊、中隊長ドナルド・イロコイ大尉出頭しました」
司令室にはハルコネン中将と秘書官のベル上等兵、クラックス大佐がいた。
「うむ、第1中隊か。被害は?」
ハルコネン中将のダミ声が室内に響く。
「はい。全隊員136名の内、負傷者20名死者10名です」
イロコイはさっき部下に聞いた数を答えた。
「そうか、分かった。10人も死んだか…君らも見て分かると思うが我が軍はかなり窮地に陥っている。だが我々は降伏する訳にはいかんのだ、君らも知っているように我が基地の後方にはサンライド市が広がっている、我々が降伏すると市民50万人が危険に曝される。それは避けなくていけないんだ。多少無茶な命令があるかもしれん、だが市民を守る為だ理解してくれ。この基地はサンライド市民を守る絶対防衛線だ」
ハルコネン中将の話しはこの後も続き、この基地の重要性など20分は続いた。

イロコイが中隊に戻ったのは出頭してから30分後だった。
「中隊長、負傷者及び死者の収容完了しました」
名札にはダニエル・フォルクと書かれている、肩章は中尉だ。
「うへぇ…血の匂いが洗ってもとれないな。鉄臭い…」
「我慢しろよ、俺もだよ」
隊員達は迷彩服を血まみれにしながら話している。
「中隊長見てくださいよ、服が血まみれです。迷彩なのに目立ちますよ」
「死体のマネが出来るな」
「死んだふりで助かるかも知れないぞ」
こんな状況でも冗談が言えるのは一種の才能だろう、だがイロコイは笑えなかった。

ガリガリと拡声器がノイズを発している。
「司令室から各隊員へ!敵の大部隊が接近中!迎撃しろ!戦車はフェンスを無視して前進!ヘリコプターはエンジンを早くまわせ!」
クラックス大佐の声だ。
「歩兵は装甲車に分乗して前線に行け!絶対に突破されるなよ!死ぬ気でやれ!」
クラックス大佐は怒鳴り散らす、ノイズと合わさって聞こえにくいが、とりあえず危険だというのが分かった。

「第1中隊集合!装備を整えろ!」
バタバタと隊員が基地内を走りまわり、戦車が基地をとり囲んでいるフェンスを薙ぎ倒しながら前進していく。

「迎撃に行くぞ!歩兵は早く乗れ!」
M2A2ブラッドレーの乗員がイロコイに叫ぶ。
「全員あの装甲車に分乗する!」
第1中隊はM2ブラッドレー(歩兵戦闘車)8輌、AAV7(装甲兵員輸送車)に分乗し最前線に走って行く。

「中隊長、武器を」
中尉はイロコイのM4(自動小銃)とM72(ロケットランチャー)を渡す。
「おお、悪いな」
ガタガタと揺れる装甲車は乗り心地の良いものでない、話し声は聞こえないし尻が痛い、しかもいつ砲弾が飛んでくるか分からない。
イロコイの頭上を対戦車ヘリコプターAH-1コブラが爆音を響かせながらゴルギスタン軍を迎え撃つべく飛行していく。

突然、装甲車が減速した。
「下車するんだ!ここで迎え撃つ!」
車長がイロコイや隊員に叫ぶ。
「全員下車!素早く蛸壺を掘れ!」
隊員は下車すると支給品のスコップで蛸壺を掘り出した。二人から三人で蛸壺に入り、M72やM249(軽機関銃)を準備する。
「中隊長、OH-6(観測ヘリコプター)からの報告によりますと戦車、装甲車は50輌以上、歩兵は計測不能です」
無線を背負った曹長が報告する。
「分かった、敵のヘリコプターはいるのか?」
曹長は無線の受話器を耳にあてる。
「対戦車ヘリコプターがかなりいるそうです」
イロコイは周りの蛸壺に声をかける。
「誰かハンドアロー(地対空誘導弾)を持ってないか?」
しかし誰も持っていない。いきなり出撃したのだから仕方ないと言えば仕方ないが持って来なかったのはイロコイのミスだ。
「クソッ!」
イロコイは地団駄を踏んだ、しかし地団駄を踏んだところでハンドアローが出てくるわけでわない。

遠くで爆音が聞こえてきた、おそらくAH-1コブラだろう。
グォォオオオ、とジェットエンジンの爆音が聞こえてきた。
ジェット機は正面ではなく、イロコイ達から見て右手側、サンライド東空軍基地の方角から飛んでくる。
「味方だ!空軍が援護してくれるんだ!」
隣の蛸壺の兵士が叫んでいる。
「静かにしろ! 曹長!空軍から通信は?」
イロコイは無線を背負った曹長に訊く。
しかしイロコイが訊くよりも前に受話器に耳をあて通信している。
「空軍はサンライド東基地が爆撃を受けていて、援護は出来な―」
ジェット機は急に高度を落とすとバラバラと黒いモノを落とした。
「Su-25(対地攻撃機)だ!伏せろ!」
黒いモノは爆弾で空中で更に小さい子爆弾をばら蒔いた。

クラスター爆弾だ!

イロコイがそう叫ぼうとしたが着弾の方が早かった。
中尉がイロコイの袖を思い切り引っ張り、イロコイはそのまま蛸壺内に倒れた。
幾つもの子爆弾は地面を沸騰させたように爆発しイロコイがいる蛸壺の30cm前方に着弾した。
イロコイ達を運んだブラッドレーとAAV7は黒焦げで蛸壺の兵士たちも黒焦げや身体の一部が無かったり、一部しか無かったりしている。
「曹長!大丈夫か!?本管に連絡しろ!損害多数、後退する!砲兵の支援も要請しろ!」
イロコイは爆撃で耳鳴りがして声のボリュームが調整出来ていない。
「中隊長…本管は戦線を死守しろとのことです」
「くそ!あいつらは俺らを殺す気か!」
いつも、もの静かな中尉が叫ぶ。
耳鳴りで聞こえないイロコイだが中尉の反応で分かった。
「中尉!他の蛸壺を確認するんだ!生存者は何人だ!」
蛸壺を飛び出て他の蛸壺に走る、しかし中尉は頭が血を飛び散らし両手足を硬直させながら倒れた。
「中尉!」
イロコイは思わず蛸壺を出ようとした、しかし曹長がそれを許さなかった。
「中隊長!ダメです!死にますよ!」
バラバラと爆音を響かせながら上空をヘリコプターがホバリングしている。
「曹長!ロケットだ!アイツを撃て!」
ヘリはMi-24dハインドだ。サイドハッチから機銃掃射している。
「無理ですよ、撃った瞬間に避けられます」
前方からはガチャガチャという無限軌道の音と重機関銃の重い発射音が聞こえてきた。
「戦車だ!クソッ!引き付けてロケットをぶちこめ!」
「中隊長!小隊長が死んじまいます、後退しましょう」
別の蛸壺から悲鳴のような声が聞こえた。
すると他の蛸壺からも後退を要求する声が聞こえだした。
「司令が戦線を死守しろと命令してきた、後退はしない。全員ロケットを戦車とヘリに向けろ!」
勇敢な兵士の1人がM249をヘリのキャノピーに乱射し始めた。
Mi-24ハインドは高度を落とすとハッチから兵士を8人下ろした。
こちらの攻撃が大したことないと判断したのだろう。

パパパパパ、と敵兵はこちらに銃撃しながら散開する。さすがによく訓練されている。
M249を撃っていた兵士が一瞬ヘリを撃つか敵兵を撃つか隙が出来た瞬間を敵は見逃さなかった。
ヘリの機銃掃射は兵士の頭から胸に大半が命中し蛸壺内に崩れ落ちた。

うわぁぁぁああ!
同じ蛸壺内の若い兵士が半狂乱でロケット砲をヘリに発射した。
ヘリは後退して避けようとしたがロケットは偶然にも風に煽られ螺旋を描きながらヘリのローター基部に命中した。

ヘリは火を吹きながらグルグルと回転し墜落、爆発した。

やったぁ!
ロケットを撃った兵士は万歳をしたが降下した敵兵のいい的だ。伏せろ!、と叫ぶ前に蜂の巣になった。

目の前には8人の敵兵、その後方には戦車が迫っている。
しかし敵は致命的なミスをしていた、それは歩兵を前面に配置して戦車を後方に配置したからだ。これでは戦車は援護射撃が出来ない。
敵兵もそれを理解していたのか牽制射撃をしながら後退し始めた。
「クソッ!逃げるぞ!ゴルギスタンめ!」
「中隊長、弾切れです!」
「いてぇ!撃たれた!血が止まらねぇ!」
隊員は弾がきれたり負傷したりしている。
「衛生兵はどこだ?早くしろ!戦車が来るぞ」
イロコイが衛生兵を呼ぶ、その間にも戦車は前進しこちらに向かってくる。
「ロケット砲を準備するんだ!」
ついに、敵歩兵が戦車隊に合流した。
戦車は同軸機銃をバリバリと乱射する。
着弾と同時に隊員の悲鳴が響く。
「伏せろ!伏せるんだ!」
イロコイや各小隊長が叫ぶ。
「中隊長、司令から通信です。右翼、正面共に突破されつつあり、各員総突撃せよ。とのこと」
無線の受話器を蛸壺の壁に叩きつけながら曹長が報告する。蛸壺内は声がよく響く。
「あいつらは素直に死ねと言えんのか!」
イロコイの怒りは頂点にあった。
無茶苦茶な命令をする司令部に怒りの矛先を向けたかった、しかし今は正面の戦車隊を撃破する事の方が先だ。
「正面の戦車だ!ロケット砲撃て!」

蛸壺に潜んでいる兵や匍匐している兵が一斉に正面の戦車にロケットを発射、発砲煙が尾を引いて戦車に飛翔していく。
正面の戦車やその周りの戦車にロケットが命中し一瞬浮いたように見えた。
しかし戦車を3輌ほど撃破したが全滅はしていない、被弾しなかった戦車は砲を乱射してくる。
隣の蛸壺の壁に榴弾が命中し隊員を四散させた。
「曹長!手榴弾だ!」
曹長は手榴弾のピンを抜くと戦車に投げようとした…が機銃に頭を貫かれ鼻から上を欠損しながら蛸壺に崩れ落ちた。曹長は死んでも手榴弾を離さなかった。

ロケット砲も尽き戦車に有効な反撃手段がなくなった今、イロコイ達に残されたのは投降か自決、殺されるの3つしかない。
隊員達は投降する者、銃をこん棒の代わりに突撃し蜂の巣になる者、拳銃で自決する者。がいたがイロコイは蛸壺の中で機会を伺っていた。突破されるのが必至となった現在、1輌でも多くの戦車を巻き込んで自決してやろう、という考えだ。

ガチャガチャと音をたてながら戦車は前進しイロコイの蛸壺の真横に来た時だ、イロコイは手榴弾を抱いて戦車の下に潜り手榴弾で自爆した。
戦車は爆風で無限軌道をバラバラに吹き飛ばし、装甲の薄い真下で爆発したため機関部を壊され、行動不能になった。
イロコイは真っ白の光が視界を埋めたところで、身体をバラバラに吹き飛ばしながら死んだ。

翌日、新聞の見出しはこうだ。
「ゴルギスタン軍サンライドに進撃、占領する」

軍の報告書によるとその日アルビス国軍3個連隊はサンライドにて戦闘し優勢なる敵軍の前に戦車16輌、ヘリコプター5機を破壊するも全滅した、サンライド基地司令官ハルコネン中将はサンライド市内にてゲリラ戦を展開するも敗北を喫し、自決を遂げる。

戦死報告書にはドナルド・イロコイ少佐の名前があった。

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