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前回のあらすじ
ヒメコに友達が出来た

人々は廃墟と化した街を走っていた
近未来型の二足歩行ロボットがブルプアップ式ライフルをめちゃくちゃに乱射し逃げ惑う人々を血で染めていった
路地裏で大虐殺が終わるのを待つ
人々の断末魔を聞くのが嫌で耳を塞ぎ、俯いて待っていた
すると目の前が一瞬フッと薄暗くなった
顔を上げると、ロボットが真っ赤な1つ目を輝かせている
「ヒィッ」
口から出たのはそれだけだった
ロボットはライフルの銃口を向けると躊躇なく引き金を―

「ギィヤアアァァァ!」
「ギャアアァ!びっくりしたぁ!何叫んでんだぁぁ!」
「だ、だってアイツが…アイツが…」

指さす先には液晶テレビがあり画面には返り血で真っ赤になったロボットが映っている
そう、さっきのは映画だ
この世に二足歩行ロボットの兵器がいるなど聞いた事はない
ヒメコが叫ぶから俺もびっくりして叫んでしまった。恥ずかしい…

「あ~、びっくりした」
「だって目の前にアイツが居たんだぞ、叫んで当然だろ」
「アホか、あれは映画だよ。黙って見てろ」「アイツが目の前に居るのに驚かない…勇太は何者だ…」

ただの人間だよ
映画と現実の区別のつく人間だよ
画面を食い入る様に映画を観るヒメコは何かあるたび…つまり、主人公が襲われたりすると目を瞑ったり叫んだり感情移入しまくりだ
以前、飛騨とゲームで対戦した時も被弾するたびに「うわっ」とか「痛い!」とか言っていた

「映画見てそこまでビビるヤツ見たのは初めてだ」
「…勇太は怖くないのか?」
「あ~もう、泣くなよ。そんなに怖いか?」
「泣いてない!けど怖いモノは怖いんだ」

仕方ない、他のを観るか
何を借りたかな…
戦●自衛隊、宣戦●告、地獄●黙示録…これは親父が借りたヤツだな
ヒメコが借りてきたヤツは…あれ?どこだ?
青いレンタル屋の袋の中にはヒメコが借りてきたDVDケースは無くなっていた

「勇太、これが観たい」

ヒメコはそのレンタル屋のDVDケースを持っている
そのDVDは昔、N●Kで放映していた「いきも●地球紀行」のDVDだ

「ああ、それそれ。それ見ようと思ったんだよ」

良かった、もし無くしたりしたらヤバい事になっていた
流しっぱなしになっていたSF映画を停止させ、DVDを取り出すとヒメコが空ケースを渡してくれた

「お、サンキュ」
「ふふふ、感謝しろ?私がわざわざ渡したんだ」
「だからお礼言ったろ?」

DVDをデッキに入れながら言った

「今のドコにお礼の言葉があったんだ?」
「サンキューは『ありがとう』って意味だ」
「へぇー、そうなのか。サンキューか」

そうか、ヒメコは日本語しか分からないのか
でも日本語はどこで習ったんだろう…蛇の学校とかあるのか?
先生は蛇か?それとも人間?
まさか、俺の選択肢って蛇の先生になるとかか?
いやいや、そんなアホな事があってたまるか

ちょうどその時、呼び鈴が鳴った
我が家の呼び鈴はファミマの入店音によく似ている
親父が呼び鈴が壊れた時に買ってきたのがこれだった

「誰だ?」
「俺が出るよ、テレビ観てろ」
「は~い」

また、小野の時みたいに「敵だ」とか騒がれたら困るしな
それにヒメコは「いき●の地球紀行」を見たがってたし、これぐらいどうって事はないさ
我が家のリビングから玄関まで5歩もかからない
俺は金属製の玄関扉を向こう側にいる人間に返事をしながら開けた

「どちらさま…?あれ?」

扉を開けると向かいの家が目に入った
呼び鈴を押した主は俺の視界には居ない
イタズラか?そう思った俺はリビングに戻ろうと一歩下がった

「貴様、挨拶をしないとはいい度胸だ」

声がした
しかし、視界には誰もいない
まさか…下か?
視線を下に向けるとヒメコより一回り小さい女の子がいる
背中まで伸ばした真っ黒の艶っぽい髪、漆黒の瞳、対称的に白い肌…一言で言うとスゴい可愛い
おっと、言わせてもらうが断じてそんな嗜好ではない

「ヒメコ姉様は居るか?」

少女の声は見た目より大人びていた

「…え?ああ、いる…何でそのことをっていうか姉様?」
「む…ヒメコ姉様はヒメコ姉様だろうが馬鹿者」

馬鹿者って…
誰だコイツ?何でヒメコの事を知っている
しかもヒメコ姉様って…ヒメコの関係者か?

「ヒメコはいる、でもその前に君は誰だ?」
「相手に自己紹介を求める場合は自分からするものだと教わった、それにヒメコ姉様を呼び捨てにするなど何者なんだ貴様は」
「…俺は篠田勇太、ヒメコの復讐相手だ」

俺の名前を聞いて目を見開き驚いた様子を見せる
その後俯きまるで怒りに震えるように握りこぶしを作った

「き、貴様がヒ、ヒメコ姉様を!……グッジョブ!もう、あの時のヒメコ姉様のお顔ときたらそれはそれは……」

とんだ拍子抜けだ
おそらくこの娘はクールなイメージを通したかったに違いない、しかし…クールとは程遠いイメージを俺に植え付けた

「…失礼、私はオロチキミコ。ヒメコ姉様の妹です」

頬を紅色に染め1つ咳払いをしてから言った
ん?コイツ今重要な事を言わなかったか?
ヒメコの妹?
アイツ、家族はいないって言ってと思うんだが…
でも目付きとか輪郭は確かによく似ている
このオロチキミコは髪型以外はヒメコをそのまま小さくした感じだな。それぐらい似ている

「ヒメコ姉様に会わせろ」
「少し待て、ヒメコに訊いて来てやる」
「ヒメコ様、だ!」

面倒なヤツが現れた…
自称:ヒメコの妹「オロチキミコ」
また、ややこしそうな事になりそうだな

リビングに入ると画面に食らい付くのではないかというぐらい楽しそうにDVDを見るヒメコがいる
仕方ない、連れて来いって言われたし呼ぶしかないな

「ヒメコ、何かお前の妹ってヤツが来てんだけど…」
「…………何て名前だった?」

今まで楽しそうにしていたが明らかに目が変わった
蛇の目付きだ

「オロチキミコって言ってた」
「キミコ…分かった行こう」
「入れなくていいのか?」
「いい」

つっぱねるように言うとヒメコはDVDを一時停止させサッと立ち上がり玄関へと歩いた
ヒメコのこんな気迫は見たことがない、俺がカエルなら諦めるね、何かを
金属製の玄関扉を俺が開けるとオロチキミコがいる

「ヒメコ姉様!」
「何だキミコ、何のつもりだ」
「ヒメコ姉様に会いたくて」
「お父様か?」
「うっ…さすが姉様。お父様が帰って来いとおっしゃったのでお迎えに」
「だったらキミコだけ帰ればいい。私は勇太に責任を果たして貰わないと。それがオロチ家の昔から続く法度だ」

古い慣習に捕らわれ蛇として生きるのではなく自分の復讐相手と暮らす
ヒメコはあまりにも可哀想だった
でも何でヒメコは家族は居ないって言ったんだ…

「ヒメコ姉様!帰って来て下さい!」
「ダメだ、オロチ家の法度は破れない」
「うぅ…」
「勇太、行こう」

いいのか?
オロチキミコは地面に膝を着いて泣いている

「ヒメコ、いいのか?あれ」
「構うな、アイツは嘘泣きの達人だ」
「嘘泣きねぇ…」

いや、でもあれは嘘泣きに見えんぞ
あれを放って置くのは俺には無理だ

「勇太、何をするつもりだ」
「泣いてるのに放って置けるか」

キミコの近くでしゃがみ、細い腕を持ち上げ肩に背負った

「近づいちゃダメだ!キミコは薬の天才だ!」

薬?なら大丈夫だ…ろ?
…あれ?力が…

「なぁんだ、ヒメコ姉様の復讐相手だと言うからどんなヤツかと思ったら…大した事はないただの人間じゃない」

キミコは注射器を持っている
何をしやがった
ホントに嘘泣きだったのか

「毒も薬なんだ、毒薬って言うでしょ?」

キミコは口裂け女のように口角をあげニタニタ笑っている
薄れ行く意識の中でヒメコの声が俺の頭の中にガンガン響いた
脱力感と睡魔が同時に攻撃を仕掛けそのまま俺は深い深い眠りへと落ちていった



真っ暗の闇が世界を覆っている
地面も空も真っ黒で地平線すら見えない
しかし自分の体だけははっきり見える

「ドコだココ?もしかして死んだか?」

オロチキミコに毒薬を打たれたのははっきり覚えている
その後はよく覚えていない
そういえばポケットに携帯を入れてた
携帯のライトで少しでも明かりをとポケットに手を…入れられない
ポケットどころか手が肩から無い、足もない
俺の目線は地面とほぼ同じ、まるで小動物よのようだ、手と足が無くて目線が低い…蛇?マジで?
突然、目の前にボゥッと白い炎が現れた
炎は形を変え着物を着た少女になった
少女は楽しそうに走り回り遊んでいる
どこからか子供達の笑い声も聴こえてきた

しかし、突然少女の周りが暗くなった
炎が弱くなったのか?
少女は走るのを止め、その場に踞った
子供達の笑い声はいつのまにか止み言葉が聴こえた

『この妖怪!』
『コイツは蛇女じゃ!祟られるぞ!』
『妖怪!こっちへ来るな!』
『化け物め』
『化け物め』
『化け物め』

やめろ!ソイツは妖怪じゃない!

しかし声は出ない
何故、少女が妖怪ではないと思ったのか分からなかった
姿の見えない周りからの罵声は続く

『出ていけこの化け物め』
『化け物の家には近づいたらイカンよ』
『何でこの村に居るのかね、出ていけばいいだろうに』

酷いことしやがる、同じ人間なのに
蛇はあんなことしないぞ
…ん?なんで俺は蛇の事を知っているんだ
俺は人間なのに…
少女は立ち上がると歩き出した
俯いて、着物の袖で目を擦りながら

何をするつもりだ?
そっちには池があるだけだろ
…何で池があるのが分かったんだ?
周りは真っ黒の世界で地面も空も全てが真っ黒なのに

『獣の言葉が分かるとか妖怪に違いない』
『あの子は狐の子だったんだよ』
『寺か神社に預けましょう』
『仕方ないか』

コイツラは我が子に何て事を言うんだ!
何て酷いことを言うんだ!
親なら我が子を信じてやるもんだろう!

少女は池の前で手を合わせた
下駄を脱ぎ、ゆっくりと池の中に入って行く

ヤメロ!死ぬな!

少女が振り向いた
涙で頬を濡らし嗚咽をあげた

蛇さん…私は…私は…

俺はこの少女の為に神力を使おうと決意した
…神力って何だ?
あっそうか、蛇は神の使いだから力が使えるんだった
…なんでそんな事を知っているんだ
さっきからおかしい、まったく知らないのに知っている どういう事だよ

蛇さん…遊んでくれてありがとう、今度は蛇に生まれたいな

少女は池の深みへ歩みを進める
黒い地面に少女が半分ぐらい沈んだ

ちくしょう!死ぬな!
おい!蛇になりたいか!?蛇にしてやる!

…俺は一体何を言ってるんだ
蛇にするって何だ?

ホント?

また少女が足を止めた
涙で目を真っ赤にしながら少女はこっちを見る
何でそんな悲しそうな目をするんだ
子供なんだからもっと楽しそうにしろよ
…少女は白い炎が元になっているから色が無い、なのに何で赤い目って分かったんだ

ああ、蛇にしてやる!俺と嫁さんの子になれ!

嫁さん?俺は結婚してないぞ
俺の口は頭とは違う事をペラペラと話す
頭では少女が誰なのか訊きたいと思っているが口からは全然違う言葉が出た

突然少女が姿を消した、周りには再び暗闇だけが広がる
すると、突然黒い天空から声が聴こえた

『よぅ、篠田勇太。俺はオロチ家当主オロチカツトシってもんだ』

誰だ?
ここはどこなんだよ

『まあ、そう慌てるな。今見たのは俺の記憶だ、俺がオロチ家当主に就いたばっかりの頃あの少女に出会ったんだ、あの少女はその後俺の愛娘として育てた、もちろん蛇に生まれ変わって嫁さんから出てきてな』

だから何だ

『その少女がオロチヒメコだ』

…は?今、何を?

『ヒメコはオロチ家の長女として育てた。その後、嫁さんも子を産んだが女でな結局5人姉妹だ』

ちょっと待てよ
ヒメコは元々人間だって言うのか?
何であんなに虐められたんだ

『少し落ち着けよ。ヒメコは元々人間だ、あいつは少し特殊で動物と会話が出来たんだ、それで気味悪がられて近所どころか親にも虐められたんだ…それでだ篠田勇太、ヒメコの提示した選択肢はどっちを選んだ?』

あれは…まだ完全に教えてもらってない

『はぁ?教えてもらってない?何で?』

知るか
今はまだその時じゃないとか言って

『そうか、分かった、ならいい。俺から教える訳にはいかんしその時まで待て』

ちょっと待てよ!
アイツは何で教えてくれないんだよ!

『俺に訊かれてもなぁ…おっと、もうすぐ目が覚めるな。最後に忠告してやるよ、ヒメコを泣かしたら殺すからな』

それ忠告じゃねぇよ!脅迫だよ!

『細かいことは気にするな禿げるぞ』

突然黒い世界は弾けるように消えた
瞬間、俺は目を瞑った


「……太、勇太!起きろ!」

誰だ?まぁ、こんなウルサイ奴は1人しか俺は知らんな
返事をしたかったが指1つ動かない…どうしようか…

「キミコ!早く解毒剤を!」
「もう打ちましたよ姉様、それよりコイツはホントにあの選択肢を選んだんですか」
「まだ正式には選んでないと言っただろう」
「でも選んだらコイツがねぇ…姉様の夫にねぇ」

…へ?…夫?
何の話しだよ、俺がヒメコの夫って

「まだ、その事は勇太には教えて無いんだ」
「え!?教えて無いんですか!?」
「誤魔化したら追求しなかったから…」
「…なるほど、コイツらしいですね」
「勇太が目を覚ましたら言うよ」
「頑張って下さい姉様」

いやいや、何か勝手に話し進んでるし
頭を整理しよう
コイツがヒメコの夫
コイツは誰の事か不明
選択肢を正式には選んで無くて、まだ教えてない
まさか…その選択肢はヒメコの選択肢ってヤツか?
じゃあ…夫は俺?
嘘だろ?

また気が遠くなっていく気がした


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