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注意!
この話の主人公たちのセリフは大部分が英語の予定でしたが筆者に英語力が無いため一部のみ英語となっております
なんちゃって航空無線です、ご了承下さい

ハルドから東へ40km、ハンディア空軍基地
二機のF-16が管制官の離陸許可を滑走路端で待っている

『This is HANDIA tower bear1 Cleared for take-off runway27 wind 080 at 14 knot.』
「Roger,Cleared for take-off runway27,bear1.」

管制官からの無線を確認すると最初はゆっくりと、徐々にスロットルを上げ耳をつんざく爆音をあげながら滑走路を六割程走ったところで離陸していった

反抗作戦は依然として続きハルドから西の大地を血で真っ赤に染めている
アルビス国軍はハルド、サクラトリアを何とか奪還したもののそこから戦線を伸ばせず維持するのがやっとだというこの時にゴルギスタンは精鋭の第1機甲師団、第82機械化歩兵旅団、第402ヘリコプター大隊など8万人を首都制圧作戦に投入することを発表した
この発表はスグにアルビス国を駆け巡り攻撃された事のない首都で指揮を執る温室育ちの上層部の人間を凍りつかせた
『スグに全部隊後退させて首都防衛をすべきだ!』
『何を言うか!そんなもの南ベトナムの二の舞だ!早急に核兵器を製造し核攻撃すべきだ!』
『核攻撃なんぞとんでもない!徹底抗戦だ!最後の1人まで徹底抗戦だ!』
『あぁぁ…もう、降服しかない』
など
アホとしか言い様のない失態を晒している
しかし、さすがにそんな命令は下されることなく今まで通り反抗作戦の真っ最中という訳だ

離陸したF-16は一路西へ向かい敵陸軍へ爆弾のプレゼントを届ける任務中である
温暖な季節だからか山には緑が広がり眼下にはついこの前奪還したハルド陣地が見える

「こちらベア1、高度を上げるぞ」
「ベア2、了解した」

前を飛ぶF-16…ベア1が機首を30度程上に傾け、ワンテンポ遅れて後ろのF-16…ベア2が同じ角度で続く
彼らの所属する第306飛行隊は主に対地攻撃に特化した部隊として活動している
主な装備はF-16CかA-7Eの6機ずつで基本的な武装は爆装となっている

「ベア2、もうすぐ敵の制空圏に入る、気を付けろ」
「分かってるよ」

針葉樹の森を眼下に450ノットで飛行するF-16を敵のレーダーは当たり前だが見逃しはしない、スグにサンライドからSu-27フランカーが迎撃に飛翔した
しかし接触まではかなり時間はかかる

「ところでさ、ベア1」
「なんだ、ベア2」
「この戦争には勝てると思うか?」
「ん~…敵の首都制圧部隊を殲滅出来たら勝てるだろうけど…それが出来なきゃ、はいそれまでよっと」
「だよなぁ、でも陸軍にそんな戦力残ってんのか?」
「それは……ん?真後ろ!ミサイル!」
「散開して回避!フレア!フレア!」

二機は同時に左右に旋回した
ミサイルは後ろのベア2の排気熱を頼りに同じ方向に旋回し距離をグングン詰める
おそらく森の中に対空ミサイルを配置しておいたのだろう
上空からではまったく分からない

「ベア2!フレア!フレア!」
「もうやってる!」

フレアに惑わされることなくベア2の排気口を真っ正面に突っ込むミサイルと上下左右に舵を切り、振り切ろうとするF-16とのチェイスは続いた

「ベア2!スロットル切れ!切ってフレア射出!」
「もうしてるって言ってんだろ!ベア2急降下する!」

ロールして上下逆さまになると一気に操縦桿を引きほぼ直角で急降下していった
ミサイルもそれに続きほぼ直角に急降下していく

「やめろ!危険だ!」
「これしかない!」

地表目前
また一気に操縦桿を引き同時にスロットルを全開まで開く
F-16は失速しそうになりながらなんとか機体を水平に保ったがミサイルは機動が足りず地面にぶつかり爆発した

「見ろ!逃げ切ったぞ!」
「無茶苦茶しやがって、ぶつかってたらどうするんだ!」
「結果オーライだよ、ベア2任務に戻る」
「…ベア1、了解」

針葉樹の森を抜けると緑豊かな丘陵地帯が眼前に広がった
その一角に展開する敵の自走砲と榴弾砲が今回の標的だ
ここの自走砲と榴弾砲がハルドに砲撃を加え補給線がズタズタにされた、それを攻撃しようとヘリコプターを飛ばしたがさっきのミサイルの餌食になり、第306飛行隊に命令が下ったという訳だ

丘陵地帯の一角に平坦な地形があり、そこに密集するように部隊は展開している
砲を斜めに向け、まるでハリネズミのように自走砲と榴弾砲が展開しているのがよく分かる

「ベア1、タリーホー(目視確認)」
「ベア2、タリーホー」
「ベア1攻撃開始、正面から左手を狙う」
「了解、ベア2は右手を狙う」

二機は急いで後退しようとする自走砲と榴弾砲目掛け低空飛行で無誘導爆弾をバラバラと投下した
自走砲の砲塔、無限軌道、機関銃やよく分からない部品、搭乗員のバラバラの肉片を空中高く舞い上げた

「ヒーハー!全弾命中!」
「よし、ベア2帰るぞ」
「了解」

ジェットエンジンの唸り声を響かせ二機のF-16は元来た方向へループした
爆弾を投下された場所はF-16が去った後、負傷者の呻き声と兵器が燃えていく音だけが何重にも響いた

「今日の仕事も楽だったな」
「ミサイルに追われたヤツがよく言うよ」
「俺はアレを狙ってやったんだからさ」
「まったく、無茶しやがる」

後は帰るだけとなれば気も緩む
敵の対空ミサイルも沈黙したままで一瞬気になったが放置して問題ないだろうとベア1は判断した
後でハルドから陸上部隊を派遣すればいい
そう考えた

目前にハルド陣地が見える
もうすぐ友軍の勢力範囲だ
ベア2はいつも以上に敵の抵抗が軽微だったのに嫌な予感がした
それは結論から言えば当たった事になる

「レーダーに反応、1時の方向、フリップ多数」
「何だこれ?友軍?」
「分からん、IFFは出てないな。接触するぞ」
「ベア2、了解」

目標はスグに見つかった
高度は大して高くないが2機や3機ではない少なくとも30はいるだろう

「あれは……バジャー(Tu-16:爆撃機)だ」
「あんなに沢山…ハルドが!」

Tu-16の進行方向にはハルド陣地がある
ハルドには対空ミサイルはもちろん配備されている、しかし30機以上の敵機に対応出来る筈がない

「ハルドの支援をしないと」
「待てベア2、下手に前に出たら誤射される。撃つなら後ろの敵を狙え」
「了解。ベア2は敵爆撃機に攻撃を加える」

アフターバーナーを点火し飛躍的に速度を上昇させ爆撃機に食らいつく
二機の戦闘機は爆撃機を機銃の射程に納めると問答無用で蜂の巣にした
翼と胴体を穴だらけにし翼の基部から黒煙と炎を吹き出しメリメリと変形させていく
また、別の機体は翼の空対地ミサイルに被弾し大爆発を起こし粉々に飛び散った

「くそっ!数が多すぎる!」
「フレンドリー!フレンドリー!こちらはベア1。支援してくれ!」
『こちら第61対空中隊、スグに対空ミサイルを発射する。一番前を狙うから退避しろ』

ハルド陣地から白煙が三本あがった
地上からの誘導を頼りに真正面から敵機に当たる角度になったと思うと、次の瞬間には1機の爆撃機が火だるまになり爆弾に引火したのか大爆発を起こした
しかし、さすがに大編隊の敵機だ
まだまだハルドに接近していく

「ベア2、前に出るな!」
「ハルドがやられたら終わりだ!」
「だからといって前に出るな!誤射で死にたいのか!」

爆撃機の爆弾倉が開く
黒い爆弾が姿をあらわにした
ハルドの対空ミサイル、対空戦車が必死で防御しているが撃墜したのは8機もいない
悠々と飛行し編隊を崩す様子もない
機銃をお見舞いしてやろうと爆撃機の真後ろをとった瞬間だ
コックピットの警報器が甲高い警報を響かせた

「ミサイル警報!11時から!」
「回避!」

11時の方向から白煙を曳きながら接近しつつあるものが目視で確認出来た
中距離アクティブミサイルだ
ベア2が大きくループしたところでミサイルは目標を見失いどこかへ消えて行った
それを撃った主はまだ見えない
しかし、ハルドの対空ミサイルではないし、ましてやベア1の筈がない

「ミサイル回避成功!」
「敵機の位置は?」

まだ黒い点程にしか見えない
しかし徐々に形状が明らかになってくる
急速に近付いて来る
まるで戦闘楽しんでいるかのようにロールしたりフラップを動かしているのが分かる
機銃もミサイルも撃つことなくベア2の正面を二機が通り過ぎだ
通り過ぎる瞬間、視界がものすごいスローモーションになりパイロットの酸素チューブからフライトスーツの皺まではっきりと見えた
その時、敵機のパイロットがこちらを見てサッと敬礼したように見えた

「ベア2!大丈夫か!?」

ベア1に声をかけられ視界が普通の速度に戻る
一瞬で敵機は米粒程の大きさになった

「あ……す、すまない、大丈夫だ。敵機を確認、Su-27フランカーだ」

通り過ぎる瞬間に見た敵機の機首、翼の形状は写真のSu-27と全く同じだった
しかし、翼のマークはゴルギスタンのマークではなく赤い星が描かれ、垂直尾翼には鎌とハンマー…つまり旧ソ連のマークが描かれていた

どういうことだ…
ゴルギスタンなら剣が交差していて真ん中に三日月があるはずなのに

色んな考えを巡らせたが思いつかない
大体戦闘中だ
頭もそこまで回らない
ハルドには爆弾を今にも投下しそうな爆撃機が……いない

「ベア1!爆撃機は!?」
「分からん、突然反転して還ったよ」
「何でだ」
「知るか、それよりフランカーは何処だ」

完全に見失っていた
レーダーには反応していないし目視でも見えない

「そっちのレーダーには映らないのか?」
「映ってたら訊くか、大体フランカーはIRSTだからレーダーには反応しないだろ」

もっともな意見だ
赤外線で探知するフランカーはレーダーに反応しない、目視で探して攻撃するしかない
首を前後左右上下、あらゆる方向へ向け探し回る

「くそっ!どこだ!」
「ベア2!真後ろ!フランカー!」

後ろに殺気を感じた
操縦捍を一気に右斜めに押し倒し機体を急降下させる
身体中の血液が頭に溜まり視界が赤くなりかけたところで水平飛行に戻した

「ベア1、フォックス・トゥー」

ミサイルを発射したようだ
しかしベア2からは全く見えない
フランカーは二機いた
それが全く見えないという事はベア2の死角にいるからだ

「キル!ターゲットアルファ撃墜!」
「ベア1!もう一機は!?」
「俺の後ろだ!なぁにスグに落としてぇっ!?」
「どうした!?」
「撃たれた!ちくしょう、尾翼がやられた!」

援護に行こうにも位置が分からない
真後ろか真下か…
ロールして真下を探す
黒煙が見える、その先にF-16とSu-27がいる尾翼が動かないからか主翼で巧みに舵をきり機銃を回避する

「こちらベア2敵機確認、援護する」

逆さを向いた状態から急降下し敵機の真後ろをとる
機銃の照準を敵機に合わせ引き金を引く、瞬間にフランカーが機首を80度程上げ、機体からベイパーを撒き散らし急激に速度を落とした

「コブラだ!」

まるでコブラが鎌首をもたげるようにベア2の真後ろに着くと同じ速度で付いてまわる
どんな機動をしてもまったく離れようとしない

「ベア2、援護してやる」
「無茶だ、アンタの機は尾翼が死んでんだ」
「バカ、言ったろ?スグに撃墜してやるって」

そう言うと巧みにフランカーの真後ろに着き機銃を放った
次の瞬間にはフランカーは炎に包まれ左翼を失い針葉樹の森にコックピットから叩きつけられた
炎に包まれた機体は突然青白い炎に包まれ爆発を起こし粉微塵に飛び散った
恐らく、機密保持の為に自爆したのだろう
ベア1に手傷を負わせ、ベア2を追い掛けまわしたにしては呆気ない最期だった

「キル、敵機撃墜」
「やった!ベア1すげーよ、早く帰って報告しよう」
「あ~…スマンが先に帰ってくれ」
「どうしたんだ?」
「ビンゴ過ぎてる、燃料が流出してるみたいだ」

ビンゴフューエルとは燃料の残りが基地に帰れるギリギリあるという意味だ
ビンゴを過ぎた、つまり基地に帰還出来る分の燃料が無いということになる

「ハルドの近くに不時着するよ、陸軍の力を借りるのは癪だがそれで帰るわ」
「……Roger.Good Luck one」

ベア1の真横を過ぎる時、コックピットに右手で敬礼するパイロットが見えた
位置をハルドの陸軍に伝えようかと思ったがハルドからヘリコプターが上がるのを見て止めた
あのヘリは救出部隊だろう そう考えたベア2はハンディアへと機首を向けた


ハンディア空軍基地

「HANDIA tower bear2 landing on final」
『bear2 cleared to land runway09 wind 070 at 06 knot』
「cleared to land runway09 bear2」

管制官が着陸を指示する
いつも通り着陸し、指示通りいつものエプロンに駐機する
いつもなら横に駐機する筈の機がいない
ハンディア空軍基地にベア2と共に出撃した片方のF-16が滑走路戻って来ることは無かった

いつもより汗をかいた、早くシャワーを浴びよう
でも疲れたから休憩

F-16のメインギアに寄りかかった
ちょうど夕日が山に沈んでいく、とても綺麗だ…隣国と戦争しているとは思えない
夕日の方角に二つ、黒い点が見えた

ヘリか?

管制塔から1人の兵士が笑顔で走ってきた

「陸軍のヘリに救助されてこっちに向かってるってよ」

興奮しているのか『誰が』救助されたのかこの兵士は言わなかった
しかし大体言わなくても分かる
この基地で救助されるような奴は今のところ1人しかいない
陸軍のヘリコプターがこちらに向かって飛んで来る
まだ米粒より小さいぐらいにしか見えない

あれが到着するまでここに居よう
シャワーはその後だ

立ってメインギアに寄りかかっていたが腰を落としてあぐらをかいた
汗で蒸れるフライトスーツを半分脱ぎヘルメットを地面に置いて待つことにした
ベア1の機体ではなくパイロットの帰還を



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