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前回のあらすじ
友人にヒメコの事がバレてた

客人はやはり小野であった
何故か敵意剥き出しのヒメコを離れさせ小野を俺の部屋に招き入れる

「すまんなぁ、アイツは俺の親戚の子で人見知りが激しくてな」
「あ、あぁ。そうだったの、敵って言われたからビックリしたよ」
「ヒメコ!こっちに来なさい」

ブスッと頬を膨らませ不快であることを顔に現す
渋々俺の横に来て座った
顔は小野の方向を向いているが視線は横を向いて小野を見ようとしない
反省はしてないみたいだな

「小野に謝りなさい」
「………すいませんでした」
「人見知りだったら仕方ないよね、謝らないでいいよ」

太いフレームの黒縁眼鏡を掛けた小野の目はスゴく柔和で俺は引き込まれそうだった
だがヒメコは小野と向かい合っている俺の後ろに隠れる様に下がる
異様に何かに怯えているように見える

「何してんだ、怪しまれるだろ」
「あ、あの女はダメだ…」
「何が」
「あの女はダメだ…怖い」

何が怖いんだ
小野は他人の悪口を一切言わない良くできた人間だ
そんな、人に暴力を振るったりするはずない
怖い要素の1つも見つからんぞ

「すまんなぁ、人見知りが激しくて」
「困ったなぁ、嫌われちゃったかなぁ」
「ホラ、小野が心配してくれてるから。出てこいよ」

首を横に振って拒否を示す
若干目尻に涙が見えるのは気のせいか?
そんなに嫌なのか
…仕方ない

「ちょっと姉の部屋に連れて行くよ、適当にくつろいでて」
「はーいよ」
「はい、分かりました」

二人共が返事をするのを確認すると俺はヒメコの手を取り部屋を出た
二階への階段上がってすぐ右の姉の部屋に一緒に入る
散らかり放題散らかった部屋だがしばらくココに居た方がいいだろう

「しばらくここに居ろよ?」
「……うん」
「…どうしたんだよ、小野は暴力を振るったりしないぞ」
「違うんだ、アイツは手を出すんじゃないんだ」
「なんだよ」
「眼だ」

眼?
なんだ?目からビームでも出すのか?
ちなみにコレは精一杯のボケだ笑いたければ笑えばいい

「さっきヤツは私を殺しかねない眼で見てきた」
「いつだよ」
「さっきだ」
「してたか?」
「してた…分からなかったのか!?私は…私はあんな人間は初めて見た」
「お前がどう思っているかは知らんが小野は暴力を振るったりする人間じゃない、それに何の根拠があって」
「バカッ!勇太は鈍すぎるんだ!そんな事も分からないのか!だから…」
「だから?」
「何でもない!早く下に戻れ!」

な、何なんだ…?
俺が鈍すぎる?
仮に俺が鈍かったとしてさっきの騒動に何が関係あるんだ
う~ん、分からん
とりあえず俺の部屋に戻ろう

部屋に戻ると飛騨がベッドで寝転がって漫画を、小野は…正座して何か考えてる
遊びに来てまで瞑想する人は初めて見たな

「すまんね、しばらく姉の部屋に居るから」
俺の言葉に真っ先に反応したのは小野だった
体を正座のまま、頭も目も一切動かさず口だけを動かし言った

「篠田くん…さっき飛騨くんに聞いたんだけど、あの娘一緒に暮らしてるって」

飛騨め…余計な事を言いやがって
というか小野のその話し方は若干怖い

「ま、まあ親戚を預かってるだけなんだけどね」
「ふ~ん…親戚ね。あっいや、飛騨くんが篠田くんのお嫁さんだって言ったからね」

ここでようやく体を動かした
腰から上を俺の方向に向け、俺の目を見て話した
ってそうじゃない!
飛騨!分かるか?俺はお前に殺意というモノを抱いている
もし、俺がサイヤ人なら怒りでスーパーサイヤ人になっている
何となくだがクリリンを殺された時の悟空の気持ちが分かったよ

「だって勇太ァ、事実だろぉ?ヒメコちゃんは勇太の嫁だってのは」
「アホか、一緒に暮らしてるだけでそうなってたまるか」
「じゃあヒメコちゃんはどう思ってるか訊いてみようかなぁ?」

好きにしろよ…
どうせ殴られたりするのがオチなんだし

「よーし、じゃあ行ってきてやんよ」
「ハイハイ、せいぜい気を付けて」

飛騨は意気揚々とヒメコの居る姉の部屋に向かった
何で飛騨がこんなにもヒメコを俺の嫁にしたがっているのか分からん
ただ、飛騨は人一倍こんな話が大好きで、それを弄くりまわすのが大好きなのだ

「あのアホめ、怒られても知らんぞ」
「………」
「ん?どうした小野?」
「え?い、いや何も…」

何も…にしては動揺しているような…
まあ いいや、俺には大して関係ないだろう
さて、そんな事よりヒメコの事だ
怖い物知らずのヒメコが至極普通の女子高生を怖がるなぞ考えられない
という事は何か特別な理由があるのだろうが、それが如何に小野と関係があるのかという訳だ

もしヒメコに弱点があるのだとすればそれを活用しない訳にはいかない
そうすれば俺のベッド、そして部屋の奪還もそう遠い話しではなくなってくる
そうと決まれば小野から何か聞き出さないと、役に立つ立たないは後でいい 今は出来る限り多くの情報が必要だ

「小野!」
「は、はい!」
「お前、ヒメコの事はどう思った!?」
「ど、どうって…その、可愛い子だなって」
「いや、そうじゃなくて…もっとこう…憎しみみたいな」
「憎しみ?そんな初対面の人に憎しみなんて抱かないよ」

む…確かにそうだ
初対面で憎しみを抱くなんて聞いた事はないな…じゃあ一体ヒメコは小野のドコを怖がったんだ
眼が怖いと言っていたが俺は小野の眼が怖いと思った事はないし…ヒメコがただ小野の眼が怖いと思ったからあんな風になっただけなのかも知れないな
だとしたら俺には無理だ
ヒメコは俺を舐めきっているし、俺を見て怖がったりもしない

「あの~篠田くん?」
「え?ああ、ゴメンゴメン。聞かなかった事にしてもらえないかな?ゴメンな」
「う、うん…分かりました」

どうかしていたな…ヒメコを俺の部屋から追いやったらそれこそ居場所はなくなってしまう
ベッドの奪還は諦めるとしてヒメコがああなった原因を調べる事はしておいたいいだろう
逆にヒメコを守る意味で必要だ

「あの~篠田くん?」
「なに?」
「考え事してる所悪いんだけど、あの…その…」

俯いて扉の方向を指さす、何と言うか怖がっている感じか?

「何だ?」

扉はおおよそ20cmほど開いている
ちょうど160cmぐらいの高さに男の顔が見え、まるで顔だけの幽霊のように頭だけそこにある
頭はゆっくりと口を開きゆっくり息を吐いた

「勇太ァ…勇太ァ…」
「何だ、飛騨か。何か訊けたか?」
「なーんにも。ヒメコちゃん、反応無くてさ」

反応が無い…珍しいな
毎日うるさいぐらいなのに
少し様子を見た方がいいな

飛騨の行動についてはスルーしておこう
下手に触れるのは場の空気を悪くするだけだ

「少し様子を見てくるよ」
「あ、篠田くん。私もいいかな?さっき殆んどお話出来なかったからさ」
「え~と…まあいいんじゃないかな」

多分大丈夫だと思うが…とりあえず先に事情を話しておいた方がまだマシだろう
まず、小野を部屋の前で待たせ、俺がヒメコに事情を説明する そして小野を部屋に入れヒメコときちんと話しさせる
よし、完璧だ 全く隙がない作戦だ

「まず、俺が話してみるから。呼んだら入って来てくれ」
「はい、分かりました」

よし、ここまでは計画通りか
ここからが重要だ

姉の部屋の扉を開け部屋の中に俺だけが入る
真っ暗の散らかった部屋の真ん中に黒い塊…いや、体育座りをしているヒメコが見える
これは…おそらく良い状態ではないだろう

「ヒメコ、大丈夫か?」
「…なんだ」
「飛騨が反応無いって言ってからな」
「大きなお世話だ、とっとと戻って友達とやらと遊んでくれば良いだろう」
「お前なぁ、小野のドコが苦手何だよ」
「うるさい!戻れと言っただろう」

ダメだこりゃ
さっさと入ってもらった方がいいな
あれだけ怖がってたから喧嘩にはならないだろう

「入って来てくれ」
「はい」
「なんだ?一体誰を…」

一瞬で氷ついたのが分かった
ヒメコの視線は小野を見たまま動こうとしない、かなり重症のようだな

「初めまして、ヒメコちゃん。小野圭織(オノカオリ)です、よろしくね」
「オ、オオ…オロチヒメコです。お会い出来て光栄です」

テンパり過ぎだろ
ほら見ろ、小野も逆に焦ってるし
大体『お会い出来て光栄です』なんてヒメコの口から出るような言葉じゃないだろ
まぁ、それだけ ヒメコにとって焦る事態という訳か

「そんなに堅苦しい挨拶しなくてもいいよ。私はヒメコちゃんの事が好きだから
友達になりたくて来たんだからね」
「…好きだから友達?…好きだから…そうか」

何だ?何を一人で納得しているんだ

「勇太、お前は戻れ。しばらく圭織と話しがしたい」
「そうか…分かった。後で下りてこい、コーラ淹れといてやるよ」

ヒメコはヒメコなりに前進したらしい
怖いモノを自らの意思で克服する
出来そうで出来ない事をヒメコはやってのけた
素晴らしいじゃないか

ところで、ヒメコが小野を怖がっていた理由は一体何だったんだ…
俺の予測だが多分小野の柔和な表情がスゴく裏のある顔に見えたんだと思う それであんなに怖がっていたのだとしたら、何となく分からないでもない
でも、怖がり過ぎだな。まあ友達になれたし良しとするか

俺は姉の部屋を出ると自らの部屋に向かった
飛騨が一人で退屈しているだろう、ヒメコが下りて来るまで飛騨と遊ぶことにしよう

「飛騨~、ゲームしようぜ~」
「いいよ、何のゲームするよ。大戦略か?」
「あれは時間がかかる、もっと簡単なヤツしよう」

とはいえ我が家にはゲームが少ない
親父が大戦略とかCoDシリーズを買ってきたりするが俺はあんまりゲームを買わないので殆んどゲームが無いと言っていい

「おい飛騨、こん中から選べ」
「う~んと、じゃあデューティー4しよう」

悪く思うな飛騨、俺の親父はオンラインのやり方を知らんからシングルに飽きたら俺とマルチプレイしてるんだ
だから、俺はかなり鍛えられているぞ

だから、こんな大差がつくことも正直分かっていたんだよ

「勇太…強すぎだろ…」
「親父と対戦してるからな」
「どうりでだよ!チクショー」

まぁ俺より親父のが強いがな…
そういや、小野をヒメコの所に置いてきてから30分にはなるな
コーラでも持って行ってやるか

「ちょっと、上に行って来るわ」
「おぅ、シングルしてていいか?」
「好きにしろ」

飛騨をまた部屋に放置してコーラを取りに行く
10分ぐらいで下りて来ると思ったけど予想以上に話は弾んでいるみたいだ、階下にまで声が聞こえる

500mlのペットボトル2つとグラスを2つ、あとお菓子を持って俺は姉の部屋に向かった

「ずいぶんと仲良くなったな。ほら、コーラだ」
「おぉ、気が利くな。さすが勇太だな」
「ありがとよ。これは小野の分だ、飲んでくれな」
「あ、ありがとう…」

どうやら、かなり仲良くなったみたいだな
一時はどうなる事かと心配したが、とりあえずひと安心だ
それに、ヒメコに友達も出来た
今日、飛騨の提示した選択肢を選んで正解だったみたいだ 良かった良かった

「ん?圭織、『甲羅』を飲まないのか?」
「…実は炭酸系は苦手で…」
「そりゃすまない、お茶を持って来ようか?」
「あ、大丈夫大丈夫」
「いいのか?」
「遊びに来ておいて、そんな事してもらうのは悪いよ」

さすがだなぁ
これがエンリョというモノだろう
俺や飛騨には到底無理だろうな

「圭織がいらないなら私が貰うぞ?」
「明日の分が無くなるぞ?」
「…ケチ」
「ケチで結構。何とでも言え」
「…ロリコン」
「だっ!誰がロリコンか!」
「篠田くんて…」
「違う!勝手に言ってるだけ!」

何てヤツだ
絶対姉に入れ知恵されたな
アイツ…ホントに許さん

「あ、もう時間か…私そろそろ帰るね?」
「えらく早いんだな」
「圭織帰るのか?…そうか残念だな」
「諦めろ、小野には小野の事情があんだよ」

「む…それはそうだが…」
「じゃあね、ヒメコちゃん」
「また来るだろ?」
「うん、また今度ね」

よっぽど友達が出来たのが嬉しかったんだな
玄関を出て小野が乗って来た自転車が見えなくなるまで見ていた
口では気の強い事は言っているが中身はただの子供なんだな、たまにヒメコを元々蛇だったという事を忘れそうになる
まるで、最初から人間で我が家のスゴい近い所に居たような…何かスゴく懐かしいような…
いや、そんな筈は無いか
ヒメコは元蛇で俺に復讐するために現れた、それでいいや

「ヒメコ、閉めるぞ。入れ」

呼ばれたヒメコはタッと玄関に向けて駆ける
5歩目で玄関に飛び込んだ
両足を揃えて俺の前に立つとそのまま俯いてしまった

「どうした?」
「…今日はすまなかった」
「何が?」
「何って…掃除手伝わなかったり、圭織に迷惑かけたり」

おいおい、ヒメコからそんな言葉が…待てよ?…そうか、実はヒメコはヒメコなりに気にしていたんだな
って事は飛騨が来た時の涙はあながち嘘ではなかったという事か?
なるほど…本当はヒメコは普通の気の強い優しい女の子じゃないか
俺は今までヒメコを気の強い傲慢なヤツだと思っていた、どうやらそれは修正した方が良さそうだ

俯いていたヒメコはパッと顔を上げた
思い出した!という顔だ
ガラス玉のような目を見開き、白い歯をニッと見せて言った

「まだ、飛騨がいるんだろ?」
「ああ、ゲームしてるよ」
「よーし、このオロチヒメコが相手をしてやろう」

さっきまで元気が無かったと思ったら急に元気になったり
…忙しいヤツだな

袖を二の腕まで捲り、スリッパを脱ぎ捨て俺の部屋に飛び込むとヒメコの楽しそうな声が玄関に響いた

「飛騨!対戦だ!対戦しよう!」
「え!?待って、もうちょいでチェルノブイリから脱出出来―」
「知るか!対戦だ!」

その直後、飛騨の悲しげな悲鳴が響いたのは言うまでもない

人の理屈は一切考えず自らの考えを通すが誰よりも相手の事を考える事が出来る
それが我が家の居候 オロチヒメコだ
俺は今日1日でその事を痛感した

さて、飛騨とヒメコの対決を観戦でもするか
金属製の玄関扉を閉め、自らの部屋に向かった
ヒメコの笑顔が見れる部屋に


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