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―CAUTION―
この物語はフィクションです
実際の人物、団体、地名とは一切関係ありません
実際のあの世とは多少異なる場合があります
違うからと言って作者の枕元に立ったりしないで下さい

春は出逢いと別れの季節だと言われる、僕はこんなに一度に出逢いと別れのをするとは思わなかった。

━なんだこれは━
現在、視界の半分が黒く、半分赤く濁っている 何かあったらしいがよく分からない
半分真っ黒だが片方は3Dメガネの赤い方で見た感じに似ている、お世辞にも綺麗とは言えないが汚いとも言い難い

起き上がらないと起き上がって状況を確認しないと、と思ったが体に力が入らない
脳ミソは体中に動けと命令しているが指一本、口1つ動かない
周りが騒がしくなってきたがザワザワしているだけで個人が何を言っているのか分からない

たしか僕はアルバイトに行こうとしていたんじゃなかったかな?確か珍しく寝坊して…
バイト先のスグ近くの信号が青になって…

その時、はっきりとした声で
「お疲れさま。もう大丈夫、ゆっくり寝ていいよ」
と聞こえた
そうか、これは夢なのか、じゃあ寝てもいいな早く起きてバイトに行かないと━━━
そう思った刹那、体が突然軽くなった、これなら上半身だけでも起き上ることが出来そうだ
いつのまにか視界はぼんやりだが回復している、が騒がしい声は聞き取れない
視界の端に何か黒いモノが映ったのでそちらに目を向けると、烏のように真っ黒なスーツを着た少女がいた

「落ち着いて、よく聴いて下さい」

そんな事言わなくても元々落ち着いている
この少女はさっきの「寝ていい」という声の主のようだ
何でこんな真っ黒なスーツを着ているのだろう

「残念ながらアナタは今しがた亡くなりました これから冥界に逝く準備をしなければなりません」

この少女は訳の分からないことをさらりと言った
一体全体何の事かさっぱりだ
少女はさらに僕が話す前に続けて話す

「クスノキ ユウイチ君ですね?」

何で僕の名前を知っているんだろう、しかも年上に君づけかよ…
とりあえず名前は合ってるし頷く

「…OK、じゃあ説明をはじめます…あっ、私の名前を教えていませんでしたね 私は藍坂雛、冥界の案内人です」

あまりに意味が分からないので口を開けて喋るという行為を忘れていた
冥界?案内人?筆舌に尽くし難い訳の分からなさ、もう意味が分からない

「ちょ、ちょっと待って?何の話し?大体僕の名前何で知ってんの?いくら子供でも冗談が過ぎるよ!?」

僕は立ち上がりながら少し興奮気味に言う
異常に足が軽いのに違和感を覚えたがそんなことはどうでもいい
大体、いきなり会ったその場で生きてる人間に「死んだ」とか言われても理解出来ないだろう
自称冥界の案内人『藍坂』は眉間に皺を寄せて不機嫌そうな表情をする、『もういい加減にしてほしい』と言った顔だろうか

「全くコレだから事故死は… いいですか?アナタは先ほど交通事故で亡くなりました━━━」
「嘘つくなよ!僕はこうして生きてるし…」
ハァ…とため息を1つ吐くと藍坂は僕の足元を指さし、不機嫌そうに言った

「じゃあ足元の遺体は誰かしら?」

足元を見ると、見るも無惨な人間が転がっていた
その人間の着ている服はこれでもかという程血まみれだが僕の服とよく似ている、顔も血まみれで分かりにくいがこれまたよく似ている

「コレは僕か?」

おそらく無意識に言ったんだろう、言った本人が驚いた
しかし藍坂は全て理解したようにゆっくり頷き、何と言うか事務的、もっと言うと無感情に話す

「アナタは冥法第26条により寿命を迎えた為亡くなりました。よってアナタの魂は転生の準備のために閻魔様の裁きを受け冥界に送られます、ワタクシは閻魔様の裁判までの道案内をさせて頂きます」

突然説明を始めたが、まだ納得出来る筈がない
これがドッキリカメラだとしたら名演技にも程がある
だが周りにカメラはないし、お構い無しに説明を続ける藍坂は演技には見えない

「冥法第42条により寿命を迎えた肉体と魂は切り離さなければならない 案内人は迅速に魂の切り離しを執行しなければならない」

言い終わると同時に手首のアクセサリーに何かよく分からない言葉をかけるとアクセサリーはパキッ、ピシッと音を立てデスサイズのようなものになる
アクセサリーは柄から刃まで真っ黒で昔本で読んだ死神の鎌そっくりだった
藍坂は僕の首筋目掛けて振りかぶった、まるで蛇が鎌首を振り上げるようだ、驚いている間に鎌を振り下ろした
鎌は風切り音も何も無く、僕はぶった斬られた
回避も防御も出来ず黒く鈍く光る刃は僕の首筋をど真ん中で斬り、ブチッという切れてはいけないモノが切れたような音がした

藍坂は鎌を杖のように地面に立て、またよく分からない言葉を言う
デスサイズはバキバキとヒビが入り、それが弾けると元のアクセサリーに戻る
藍坂は元に戻るのを確認すると一言発した

「執行完了…」と━━

ちょうど救急車が到着し僕(と思われる遺体)を担架に載せるところだった
周りが騒がしいが何を言っているのもか分からない、ちょうど騒がしい状態でザワザワ言って何を言っているのか分からない感じだ
つまり何かを言っているのだけどそれは理解出来ない
正直、説明しづらいが、とにかくよく分からないのだ

「いきなり執行して申し訳ありません。ですが早めに切り離さないと…肉体が先に無くなると魂は…」

藍坂の声は段々と小さくなっていく、僕には言い訳にしか聞こえなかった、しかし今ので僕が死んでいることが分かった
鎌が首筋をぶった斬ったにもかかわらず体に傷1つ付いていないからだ(それに救急隊員の反応をみれば演技でないことがよくわかる)

「いいよ、僕が死んだことはよく分かった。でも何で君は僕の名前を知ってるんだ?」

僕の言葉に驚いてもいない、きっとよく訊かれたりするのだろう
表情を崩さず、事務的に答える

「冥府は死者がでる2時間前を基準にその死者の詳細を送ってきます、だからアナタの名前が分かったんです」

なるほど、冥界には死者を管理する組織があるらしい
それが僕が死ぬのを藍坂に伝え、迎えに来たのか
もう、こうなった以上信用するしかないだろう?

「僕は具体的に今から何をすればいいんだ?」
「通夜と葬儀の間遺体の傍に座っておいて下さい、でもまだ特にする事は無いので固くなる必要はないですよ」

藍坂は微笑みながら言った
一瞬恐怖に似た感覚に陥った、黒いオーラが見えた気がしたからだ

まぁとりあえず歩こう
死んでしまったけど歩こう
出来る限りのことをして早く転生しよう

「…で、何処に行けばいいのかな?」
「家に帰りましょう」

僕の家に歩いた
いつものアスファルトの固い感触は足に一切伝わってこなかった

第1話 終


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