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前回のあらすじ
謎の少女「オロチヒメコ」と同じ部屋で過ごすことになった

明日は7日ぶりの日曜日、ヒメコが来てから初めての日曜日だ
今日は土曜日で本来は休日だがは補習で登校させられようやく帰るところである
家に着いたら思いっきり寝てやろうと考えていたのはついさっきまで、今は何が起きているのかというと、こうなっている

「勇太のバカーッ!」
「うっせぇ!寝かせろ!」

喧嘩の真っ最中…ではない
さっきも言ったが俺は学校に通っている、家から20分歩くと見えてくる私立高校の2年生だ
ごく普通の偏差値で特筆する事は特にない
私立なので授業料は高額だが親父の急な転勤にも対応出来るように寮のある学校を選んだという訳だ

さて、俺は高校の同級生と喧嘩ではなく話し合いの真っ最中だ
下駄箱を出たすぐの柱の横で話し合いをしている

「明日遊ぶって約束したじゃん!」
「明日だろ!?なら今日はいいじゃねえか、寝かせろ」
「せっかく、せっかく小野も誘ったのに…」

コイツは飛騨、保育所からの腐れ縁だ
家も近所で殆んど家族同然の付き合いをしている、活字のみで勘違いしてもらっては困るので言うがコイツは男だ
小野は高校からの同期生、ちなみに女子

「何で小野何だよ、粕谷とかで良かっただろ」
「粕谷が無理だって言うからそれに男ばっかり3人で遊ぶのは嫌だし小野に訊いたらいいって」

何でこんな事になったのかと言うと10分程時間を遡ることになる

「勇太ぁ、明日遊ぶだろ?」
「ん?ああ」
「だったら今日も遊ぼうぜ~、オールしようオール!」
「やだよ、帰って寝るんだよ」
「遊ぼうぜ~ 遊ぼうぜ~」
「あ~もうっ!しつこい!離れろ殴んぞ」
「痛ってぇ!殴ってから言うなよ」
「とにかく俺は寝るの!」
「何だよ…勇太と遊ぼうと思ったのに…」
この後は最初に戻る

という訳である
最後の飛騨のセリフが若干アホっぽいのは仕様だ
何でかって言うと飛騨の成績はクラスでビリ、つまり正真正銘アホなのだ。ちなみに俺は中の下でそれは小学校から変わらない

時間と話しを元に戻そう
俺と飛騨が話し合いをしている理由が分かってもらえたのなら幸いだ

「わかった、勇太がそこまで言うなら仕方ない」
「そうか、ようやくわかったか」
「…そういえば、勇太。何か勇太の家に女の子が来たらしいね」
「…へ?」
「何でも勇太と同じ部屋で暮らしてるとか」
「バカッそんなんじゃ…」
「そんなんて何かなぁ?」

ニタニタと不愉快な笑顔の飛騨
何でだ?何でコイツが知ってる!

「…お前、その情報はどこからだ」
「その様子だと本当みたいだねぇ」
「…何が望みだ」
「じゃあ、勇太に選択肢をあげよう」

選択肢…何か最近選択肢をよく耳にするな
ヒメコも親父も選択肢を提示してきた。片方は絶対に選びたくない選択肢ばっかりだったが

「1つ目、このまま勇太は家に帰って寝る…但し月曜日には勇太は女の子と同棲の噂で持ちきり」
「おまっ!ふざけんな!」
「まぁ最後まで聞きなよ。2つ目、このまま僕と小野ちゃんとで勇太の家で遊ぶ…但し勇太は寝れない」

また、そんな選択肢かよ
片方は社会的に死ぬ、まだ飛騨と小野なら被害は現状だと確実に少ない

「今日じゃなくて明日遊んで皆幸せって選択肢を用意しろ」
「だが断る。それだと勇太は同棲の噂で…」
ホントに飛騨のニタニタ顔が腹立つ
アホの飛騨のクセに

「くそっ、じゃあ2つ目だ」
「よーし、じゃあ小野ちゃんにメールしておくよ、スグに勇太の家に集合っと」

早っ!メール打つの早っ!女子高生かお前は
それにしても何で情報が漏洩したんだ?
知っているのは俺の家族だけだし…
漏れるとすれば…ヒメコか姉か

「え?ああ、勇太の前を通りかかったら勇太のオバサンとその子が居たんだよ」

アイツラ…
それでペラペラ全部喋った訳か
何を考えとるんだ奴等は

「じゃあ、勇太ん家に出発おしんこ~」
「はいはい」

飛騨と話しながら俺の家に向かう
話しの内容など大半がヒメコの話しだ
可愛いかっただの俺が羨ましいだの物好きなヤツだ
実際代わってもらいたいぐらいだよ、全く
家に着くまでそんな話しで終わるとか…どんだけなんだよ

そんなこんなで我が家に到着
小野はまだ着いていない
今日は親父が演習でいないだけで他は皆いるようだ
姉はバイトに行っていて欲しかった
何故なら

「ただいま」
「おじゃましま~す」
「お帰り、おっ飛騨君じゃないか。久しぶりだねぇ」
「お久しぶりです!」
「勇太…アンタの趣味は否定しないけど昼間からそんな…ハッテンとか」

無視してもらって結構だ
ヤツは腐っている
以前用事で部屋に入った時の事だ…いや、いい思い出したくもない

「飛騨、ちょっと待ってろ。部屋を片付けるから」
「は~いよ」

…さて、部屋を片付ける
ベッドで寝転がっているヒメコを利用しない手はない
使えるモノは全て使う

「ヒメコ!」
「何だ」
「いいか?時間が無いから一度しか言わん、よく聴けよ」
「聴くだけだぞ」
「今から友達が遊びに来る…いや、もう来てる」
「だから何だ」
「片付けろ」

俺はヒメコが来る前はベッドで寝ていた
しかし!ベッドはヒメコに占領され俺は狭い床に布団を敷いて寝ているだから布団を干さないといけない
そして、姉とヒメコのお菓子の袋が散らばっているのを捨てる

「おお、それは大変だ。じゃあ私はゴミを片付ける、勇太は布団を畳め」
「よし、急げ。10分でやるぞ。あと、片付けたらリビングに居ろよ」
「何でだ?」
「お前が居たらややこしい」
「む…じゃあ片付けない…」

何でだよ
またベッドに寝転がるし
ホントめんどくせぇヤツだ

「なぁヒメコ、友達が来てるんだよ」
「勇太に私の気持ちなぞ分かるまい」
「何だよそれ」
「うるさい!私は動かん!」

あ~もうっ
急がんと飛騨を待たしてるし、もうすぐ小野も来る
布団は畳んで二階のベランダへ、ゴミはゴミ袋!掃除機でサッと埃を吸って完成!
ハッハッハッ1人でやったよ
大体15分ぐらいか まあ十分だろ

「おぅ、いいぞ飛騨」
「よっしゃ、勇太のお嫁さんと御対面!」

言ってろ
今の俺は何を言われても動じんぞ

「…勇太、お前さっき掃除してたよな?」
「そうだよってお前靴並べろよ、だらしねぇなぁ」
「お前…どんな掃除をしたらああなるか教えろ…」
「何だよ…………」

今回の状況を整理しよう
まず、俺と飛騨が廊下から俺の部屋の中を見ている、母と姉はついさっき買い物に出たみたいでいない
そしてヒメコは俺のベッドで泣いている…泣いてる!?何で!?
どうしてこうなった!?
俺はヒメコには一切触れていない!
コイツが泣いている理由は分からん

「ヒメコちゃんかな?どうしたの、勇太か?勇太がやったのか?」

フルフルと首を横に振る、多分否定の意志だと思う
そりゃそうだ俺は何もしていない

「あのね…私がね悪いの…勇太の友達が来るから…リビングに居ろ…って言われたけど…嫌だって言って…掃除手伝わなかったから…勇太に迷惑かけたから…それで…」

断言しよう、絶対嘘だ。ヒメコの策略だ
この前リビングを掃除して綺麗になった部屋を見て「よくやった勇太」とか上から目線だった
だから泣くはずない
だが、アホの飛騨だ。ものの見事に騙されるだろう

「大丈夫だよ、ヒメコちゃんも一緒に遊ぼう」

ほら見ろ

「……いいの?」
「もちろん!この飛騨が許可する!」

あ~あ
これじゃヒメコの思うつぼじゃないか
別に後で一緒に遊べば良かっただろうに
『今はリビングに居ろ』って意味だったのにな
大体「この飛騨」ってどの飛騨だよ

「それにしても勇太は酷いヤツだ」
「勇太は悪くないんだ…悪いのは私なんだ」
「…飛騨、飲み物をとってくる。麦茶でいいか?」
「ああ、麦茶で」
「勇太…私は『甲羅』だ」
「分かったよ」

ちゃっかりしてやがる、ホントに疲れるヤツだよ
ただヒメコと居て疲れるばっかりではない、利点はある
まずヒメコと居て飽きない
ヒメコにとって人間の家の中は初めてで溢れている
食事にしても、風呂や寝室など初めて見るモノばかりだ
普通じゃ思い付かない事をしでかすから疲れるが飽きない

この時俺はふと思った…
もし、俺がヒメコの言う責任とヤツを果たしたらヒメコはどうするんだろう
蛇に戻るのか?だったら何で選択肢を出す事を渋る必要がある
って事は蛇には戻れないんだ
蛇には戻れない。ずっと人間のままだから、もし俺が責任を果たしたら行く所が無くなってしま―

「遅い!麦茶と甲羅を持って来るのに何分かかるんだ」
「…なぁヒメコ、お前俺が責任を果たしたらどうする?」
「どうするってそんな事…」
「お前行く所無くなるんじゃないのか?」
「…何を言ってるんだ?」
「何って」
「どうして行く所が無くなるんだ」
「俺が責任を果たしたら、お前が居る意味がないだろ」
「何かと思ったらそんな事」

そんな事ってお前
かなり重要な事だろう…居場所がなくなるってのに何でそんな暢気なんだ

「その内全部分かる、今は甲羅と麦茶を持って来る事に全力を注げばいいんだ」
「その内ってどういう事だよ」
「その内はその内だ」

その内その内って…いつなんだ、選択肢といい先延ばしにしすぎだろ
もしかして選択肢と連動しているのか?

「勇太!」
「何だ」
「甲羅と麦茶を注ぐ事に全力を注ぐ…上手いだろ!」

…コイツは
駄洒落を言っている場合か
めっちゃ笑ってるし、ツボだったのか?

「ほら、コーラと麦茶入れたから運べ」
「よし任せろ!」

こういう時は調子のいいヤツだ
いつもなら絶対手伝わないのにコーラがあると機嫌が良くなる

呼び鈴が鳴った
多分小野だ

「どちら様だ?」

最も玄関に近いヒメコが応対する
コーラと麦茶を飛騨に任せ玄関の扉を開けたらしい、飛騨の声と俺の部屋の扉を閉める音がした

「誰だ?」
「あ、あの篠田くんの友達の…」
「勇太の…」

誰だ?誰が来てる
小野か?

「ヒメコ、誰が来てる?」
「勇太!コイツは敵か?敵だな!?」

何を言ってる
敵?そんなヤツが居るか
誰の事を言ってんだよ失礼なヤツだな

一度ヒメコは叱った方がいいのかもしれない
いや…それで喧嘩になって取り返しのつかない事になったら…
どうしようか…とりあえず客人をもてなさないと、それから考える事にしよう


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