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ハルド陣地攻略作戦の開始が宣言され首都防衛と拠点防衛以外の部隊は反抗作戦参加命令がきた
総勢40万人の一大反抗作戦の始まりである

ハルド陣地の西南西40km
サクラトリア市

6機のCH-46輸送ヘリが独特の爆音を響かせ真夜中の街の中心部へと低空で侵入する
一瞬呆気にとられたゴルギスタン兵は我に帰ると自動小銃を構えた
しかし後部ハッチからミニガンの機銃掃射を受けバラバラに飛び散る

ヘリが街の大通りに着陸すると同時に後部ハッチから兵隊が20人飛び出し近くに停まっていたゴルギスタンの装甲車両を強奪する
近くにいたゴルギスタン兵はヘリの風圧で転倒したところを撃たれた
突然の奇襲にゴルギスタンは完全に混乱状態に陥り満足のゆく攻撃も出来ないまま次々と駆逐され逃げ惑う

輸送ヘリが上空からミニガンで支援し歩兵の突破口を拓き、歩兵もそれに応えるべく前進した

「敵の司令部はもうすぐだ!頑張れ!」
「中隊長!前!戦車!」
「カールグスタフ撃て!早くしろよ!」

発射音と同時にオレンジ色の光が戦車に向かって翔んで行く
弾頭は戦車の傾斜装甲を掠めると車載機銃に命中し戦車長もろとも吹き飛ばした

「次だ!戦車の本体狙え!」
「中隊長!敵の士気が戻ってきてる!早くしないと」
「わかってる!戦車を潰せ!」

オレンジ色の光がまた飛翔し、今度は砲塔と台車の間に命中し動かなくなった
すると戦車の影からゴルギスタン兵が銃剣突撃を仕掛ける

「撃て撃て撃て」
「手榴弾だ!投げろ!」

深夜の街中に銃声と爆発音が響き死体の山を作った
ヘリがエンジンの回転数を跳ね上げ急上昇すると元来た方向へ機首を向け飛行していく
燃料が限界なのか帰還してしまった、これからは航空支援は望めそうにない

戦場を見る前に状況を説明しよう
開戦から1週間でアルビス国の都市サンライドを占領したゴルギスタンはその後破竹の勢いで進撃し3週間でアルビス国中部のハルドを占領 このサクラトリアもその時に占領された街だ
人口はおよそ20万人で商業が盛んな街だが占領されてから繁華街もオフィスも営業していない
戦略的に燃料と弾薬の補給に役立つ拠点として奪還作戦が立案され、今まさにその最中なのだ

「ケーリッヒ!ケーリッヒ少尉は何処だ!」
「ケーリッヒ少尉です!」
「お前の小隊を先頭に前進しろ、朝までに司令部は制圧する」
「了解、自分の小隊を先頭に前進します」

「第2小隊前進!」

強奪したBMP2を先頭にアスファルトを踏みしめて行く
何故かゴルギスタンの攻撃が殆んど無くなり街にはケーリッヒ達の歩く音とBMPのエンジン音しかしない

「小隊長、敵は撤退したのですか?」
「バカ、何処かで狙ってんだよ」
「姿勢を低くしろ、狙撃され━━」

パンッ

さっきまで話してした兵隊の頭が無くなった
いや、正確には頭と思われるモノはある
そこらじゅうに飛び散った破片は店のショーウィンドウや縁石に引っ付いた

「散開!」
「スナイパー!?どこグァッ…」
「サノ!大丈夫か!?」
「衛生兵!衛生兵!」

パンッ パンッ

銃声の度に兵隊が鮮血と共に倒れて行く
銃弾は最初こそ頭に当たったものの次弾から足や肩に当てて戦闘不能にしていく

「ああぁ…痛ぇよぅ」
「我慢しろ、もうすぐの辛抱だ」
「スナイパーの位置は!?」
「分からない!」

前方の車の影からオレンジ色の光が迫って来る
闇夜に輝く光は兵隊たちを魅了し深刻な事態であることを忘れさせた
しかしそれは悪魔の光である事を誰も気付かない
光は近くの乗用車に吸い込まれるように飛翔しフロントガラスを突き破ったところで爆発した
大音響と共に破片が飛び散り周辺の兵隊を切り刻んでいく

「伏せろ!」
「助けてぇ痛いよぅ」
「畜生!衛生兵はドコだよ!」
「さっき一緒に吹っ飛んじゃったよ!!」
「くそっ!後退だ!中隊本管まで下がるぞ」
後退する間も容赦なく狙撃は続いた
しかし前も地獄、後ろも地獄だった

『後退してくる敗北主義者ども!前線に戻れ!さもなければ国民に代わり天誅をくらわす!即刻前線に戻れ!』

拡声器で叫んでいるのは中隊長のジョージ・イロコイ少佐だ
弟がサンライド攻防戦で優勢なる敵に突撃し見事戦死したドナルド・イロコイ少佐の兄だ

「中隊長!冗談は止めて下さい!戦える数が絶対的に足りません」
『第3小隊も連れていけ』
「負傷者だけでも下げさせて下さい」
『銃を持てるヤツは前進しろ』
「お願いします、少佐」
『第1小隊、安全装置外せ!構え!』
「…第2小隊前進、第3小隊も続け」

前進するしか選択肢は無い
仮にこのまま抗議すれば敵前逃亡で射殺されてしまう、ジョージ・イロコイ少佐はためらい無く命令するだろう

第2小隊と第3小隊が少し前進した場所でまた狙撃が始まった
出来る限り身を隠し露出しないように兵隊達は努めた

「顔を出すなよ」
「小隊長…足の感覚が無くなってきた」
「おい、頭上げるな」

ビルの影からじっと機会を伺い敵の姿を探す
まるでこっちも狙撃手になったような感覚に陥った

「第3小隊突撃ーッ!!」

静寂を破るように怒鳴り声が響き兵隊達の悲鳴ともつかない叫び声が続く
20人前後の兵隊が影から飛び出し地面を蹴って駆けた
その直後、銃声が響きケーリッヒの横を駆けた兵隊が仰向けに倒れた
オレンジ色の光が爆発し先頭を走る兵隊をバラバラに切り刻んだ

「正面のビルだ!」
「スナイパーは正面のビル!」
「怯むな!突撃!突撃!」
「バンザーイ!!!!」

若い兵隊が首筋を撃たれその場に倒れた
ちょうどケーリッヒの真横で転倒し鮮血をドバドバ流す その兵隊は眠るように動かなくなった

「ビルに突入しま―」

狙撃を突破した兵隊達がビルの扉を勢いよく開ける
―爆発
扉にトラップが仕掛けられていたのか扉が吹っ飛んだ
突入した兵隊がどうなったか分からない
だがかなりの爆発だ、おそらく死んだだろう

「チクショウ!とぉつげぇき!とぉつげッ」
第3小隊の指揮官の頭は見事に拳大の穴が開き鮮血と脳しょうを飛び散らせた
一瞬四肢を痙攣させたがそのまま倒れ二度と動かなくなった

「小隊長!小隊長が殺られた!曹長はドコだ!?」
「第3小隊は第2小隊の指揮下に入れ!」
「ハァ!?敗北主義者の指揮下だと!?ふざけんな!!」
「死にたいならさっさと死んでこい!でもなここで死んでも国の役にはたってないんだよ」
「3小隊!突撃だ!怯むな!」
「敗北主義者の言うことなんか聴くな!突撃!」
「アルビス国バンザーイ!!」

いつのまにか狙撃は弾幕へと変わっていた
MGの独特な銃声と共に吐き出された銃弾は突撃する兵隊を確実に捉え、人間から血の塊へと形を変えていった

通りは死体と血で埋め尽くされ地獄絵図と化した
生きているのは第2小隊と第3小隊の一部のみ

「伍長!中隊長に連絡!『第3小隊は突撃するも90%を損失、第2小隊はこれより第3小隊の生き残りと共にビルの攻略を開始す』」
「了解!中隊本管応答せよ、こちらは第2小隊 中隊本管応答せよ」
「M72で狙撃ポイントを攻撃するんだ、グレネードも使えよ」

近くに居た兵隊に言うと伝言ゲームの要領ですぐに全員に伝わった、内容もきちんと伝わったようだ全員が準備を始める

辺りはまた静寂に包まれた
兵隊達は目だけがギラギラ輝き、まるで肉食獣のように獲物を探す
狙撃ポイントに人影が見えた気がした

「支援攻撃始め!ッテー!」

ケーリッヒの声と同時に発射された無数のロケットとグレネードはビルに着弾すると火花と破片を撒き散らした

「1班と2班は俺と一緒にビルに突入!3班は周辺警戒!」
『了解!』

扉は爆発で無くなっている
すぐ近くには、バラバラの死体が転がり黒焦げの死体からは香ばしい香りがした

「クリア!」
「よし、制圧に向かう。1班は3階、2班は2階だ」

ビルの中は支援攻撃でぐしゃぐしゃに壊れている
柱は鉄骨が剥き出しで黒焦げになり、3階の狙撃ポイントには狙撃手と機銃手、観測手だろうと思われるバラバラの死体が転がっていた

「制圧完了」
「中隊に連絡前方の障害排―」
『ビルに潜むスナイパーに告ぐ。我々はアルビス国軍第6空挺中隊。今すぐ投降しろ、さもなくばコマンドを編成し突入させる』

外からジョージ・イロコイ少佐の声が聴こえた
拡声器を使っているのかノイズが若干混じっている

『貴様らのおかげで二個小隊が壊滅した、本来なら無警告で殺したいがさすがに
そこまで鬼じゃない。今すぐ投降しろ』

「小隊長、どういうことですか?」
「分からん、とりあえず外の連中に連絡を」
「了解 こちら1班、3班応答しろ」
『…こちら!3班!銃撃を…ている!…急援護を…む!敵はッ……』
「3班!応答しろ!3班!」
『………………』

無線はザーとノイズを垂れ流しただけで3班からの反応は消えた

「しょ、小隊長…」
「中隊長に連絡だ!」
『ゴルギスタン兵に告ぐ!後5分以内に投降しろ!突入コマンドは編成した、間もなく突入するだろう』
「大変だ!2班が攻撃されてる!」
『止めろ!助けてくれぇ!死んじゃう!死んじゃッ……』
「まずいよ小隊長!味方に殺されるなんて!」

傍らにいた兵隊が悲鳴の様な声をあげた
ケーリッヒは伍長から無線を受け取り中隊本管に連絡を入れる、攻撃を中止させないと死んでしまう

「中隊長!2小隊です!攻撃中止して下さい!」
『2小隊か?いや2小隊は全滅したから誰だ貴様ら』
「2小隊のケーリッヒです!」
『ケーリッヒ少尉は先程戦死なされ大尉に昇格された』
「イロコイ少佐!何を言って…」
『ゴルギスタン兵を殲滅しろ!突入!』

部屋に黒い筒が投げ込まれた
筒は煙を噴いて部屋に煙が充満する
複数の足音と乾いた銃声が響き兵隊達の断末魔が聞こえた

「止めろ!味方だ!撃つな!」
「小隊長…痛いよぅ痛いよぅ」
「チクショウ!撃つな!撃つな!」
「ああぁぁ助けてくれぇ!」

ケーリッヒの傍らにいる兵隊が倒れた
口からゲボゲボ血を吐き苦しむ

「2小隊のケーリッヒ少尉だ!味方だ!撃つな!」
「あぁ、もうダメだ…先に逝くわ…」
「止めろ!死ぬな!」

その時、ケーリッヒは胸に激痛を覚えた
ケーリッヒを捉えた弾丸は見事に防弾チョッキを貫き背中側の防弾チョッキに当たって止まった
口と銃創から止めどなく血が溢れ辺りに血の海を作る
まるで水道の蛇口をひねった様に血が溢れた

ケーリッヒは膝を着いて倒れ、心臓の拍動に合わせて溢れてくる血の海に崩れ落ちた
しかし血が吹き出すのには変わりなく、少しずつ意識が遠退いて行くのを感じた
がどうにもならない
血が出すぎている

「小隊長…すいません…先に逝きます」
「ノール、何処だ?ノール…パパは帰って来たからなぁ…何処にいるんだ?顔を
見せてくれよ」

拳銃の乾いた銃声が響いた
一発…二発…三発…
足音がケーリッヒのすぐ近くで止まった

パンッ

乾いた銃声が聴こえると同時にケーリッヒの意識は無くなった、頭を砕かれ血と脳しょうを飛び散らせて…


―サクラトリア市奪還作戦報告書―

第6空挺中隊は6機のシーナイトで奇襲攻撃を敢行
5時間後これを占領する

途中、ビルに狙撃手と機銃手があり 第2小隊と第3小隊が全滅せり
しかし彼等の功績は大きく、機銃手と狙撃手を負傷させた為、本隊に被害無く街の制圧が出来たも同然なり 尚、このビルは本隊が制圧した
先に報告した通り彼等はこの作戦の重要な突破口を拓いた英雄なり、軍神として奉る事を切に願う

本作戦の戦死者は52名(内、第2第3小隊は36名)、負傷者は26名なり


第6空挺中隊 中隊長ジョージ・イロコイ中佐


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