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学校の帰り道
前を歩いていた小学生たちが急に足を止めた
何かを発見し興奮したのか指をさして盛り上がっている

「どしたの?」

小学生たちは声を掛けられ一様にビクッとした、後ろに気が廻らなかったのか油の切れたシャフトのようにぎこちなく振り向く
振り向いた先に居たのが近所の兄ちゃんだと分かって安心した表情を見せると少し先の地面を指差した

「蛇!蛇!」
「あそにね!蛇がね!いるの!」

確かに小学生たちが指さす方向に蛇がいる
まだ小さい蛇だ、害はまず無いだろう
まあ小学生にすれば大きさではなく蛇がいるかいないかが問題になる、駆除して問題無いだろ
そう勝手に結論を出し、蛇の首(口の後ろ辺り)を掴み、空地へと放り投げてやった
小学生たちは「おぉー」と歓声をあげ、俺を誉め称えると元気に走っていった
篠田勇太13歳の出来事だ
月日は流れ4年後

学校から帰って、リビングに入ってまずここが自宅なのか疑った
リビングには母と大学生の姉、そして…名も知らぬ少女が居て、まるで汚物を見るような目で母と姉が俺を凝視する
何だ何だ、俺が何かしたか?

「勇太、あんた…アホだアホだと思ってたけどまさか…」
「あんたこれからどうすんの?こんな女の子に手ぇ出して…お母さん悲しいよ!」

何言ってんのこの人は 俺がこの女の子に手ぇ出した?

「待てぇい!何の話しだ 説明しろ」

渋々母が説明する、正直意味が分からんが最後まで聞いておこう
姉が帰ってきてしばらくするとこの女の子が家に来たらしい
女の子は既に泣いていて母が事情を訊くと俺に酷い事(主に活字でも伝えられないようなもの)をされ、その責任をとって貰いたいと言っていた

全く身に覚えがない!

「何の話しだよ、俺はそんな事する筈ないだろ」
「バカッ!女の子が泣いてんのにまだしらばっくれる気かアンタは!」
「大丈夫だよ、あのアホには絶対責任とらせるから」
「ハイ…アリガトウゴザイマス」

ちょっ!ありがとうじゃないよ!
大体、今初めて会ったのに責任とれとか意味不明にも程があるだろ

「ちょっと待てって、責任以前にこの娘誰だよ」
「またしらばっくれる気かい!しばらく二人で話し合ってきな!」

母は俺の胸ぐらを掴むと、女とは思えない力でポーンとリビングの向かいの(俺の)部屋に放り、俺の身体は本棚にダイブする
バサバサとマンガや小説が棚から転落し、俺の肩や頭にヒットしていく、マンガなのでそこまで痛くはない、辞書なら相当痛いだろうが、あいにくこの部屋に辞書と呼ばれるものは存在しない
だから俺にダメージなど殆んどない、でも痛いもんは痛い

「痛ってぇ!何しやがる!」
「ちゃんと話し合うんだよ、じゃないと勘当だよ」

勘当って何だよチクショウ
姉が女の子の肩を抱いてゆっくり部屋に入る
部屋の真ん中にちょんと座るが顔は俯いたままで見えない

「勇太、きちんと話し合うんだよ そうすれば姉ちゃんも協力してやるから」

姉貴…あんだけ言ってもやっぱり家族だな
優しいとこも…

「あっ、ベッドの下の本とDVD見つけたから机の上に置いといたよ このロリコン」

前言撤回!最低だアイツ!
絶対今、言うべきじゃないだろ

パタン、と木製の扉が閉まる
とりあえず鍵を締めたいが変に女の子を刺激しては不味いだろう 扉はこのままにしておく
座布団を敷き女の子の正面に座り、素性が分からないから聞き出す事にする、それぐらいの権利はあるさ

「え~と、誰?」
「…………オロチ……」

誰?と訊いてオロチと答えるクオリティの高さ、意味が分かりません
誰か 教えてくれ

「オロチ?」
「……オロチヒメコ」

名前か! オロチってスゴい名字だな
オロチだから大蛇とか書くんだろうか

「……責任とってくれるのか?」

俯いたままポソッと女の子…ヒメコが呟く
いやいや、責任以前に初めて会ったからとりようがねぇよ
怒鳴り散らしたかったが俺もそこまで人間出来てない訳ではない、善悪の区別ぐらいつくさ

「俺はそんなの身に覚えがないからねぇ、責任って言われてもなあ」
「………嘘つき…あんなことして…」

嘘も何もホントに身に覚えがないよ…泣きたいのは俺の方だよ

「…ホントに覚えてないのか?」

ヒメコは意外そうな口調で言った

「ホントに覚えてない」
「…嘘だ…覚えてないはずないじゃないか」

初めてヒメコは顔をあげた
顔を見て俺は違和感を覚え、それをしばらく考えてみる
どこか普通の人間とは違う…そうか、目が違う、瞳孔が蛇のように縦になっているからだ
だからオロチなのか?
だが、それ以外は普通の女の子だ、でも見覚えはない

「アナタは私を殺そうとした。私は只、道を横切っていただけなのに…私はあの時アナタに虐められた蛇だ!」

もうホントに意味分かりません
「蛇だ!」とか言われても…頼むよ分かるように説明してくれよ
自分が蛇とか電波にも程があるだろ、大体あの時っていつだよ
ヒメコは首を左右に振った、同時に艶っぽい髪の毛が揺れる

「もう…覚えてないならいい でも責任はとって貰う」
「責任って…百歩譲って俺が何かしたとしよう、何をすればいいんだ?」

右手をピースサインにしてみせた
それは何となくピースサインと言うより2つと言った方が自然に見えた 話の流れ的にピースする状況ではないし

「アナタは2つ選択肢を持ってる 1つは私に殺されて私の恨みを晴らす」
「却下 死なない方向の選択肢を要求する」

途端にヒメコの白い肌が紅潮し俯く
何だ?俺は卑猥な事など言ってない(つもりだ)ぞ

「もう1つは……い、今は教えない」

はい?

「と、とにかく!私に殺されるかもう1つの道を選ぶか!どっち!」
「殺される道を選ぶヤツがいるか!」

こうなったらヤケだ!責任でも何でもとってやる
どうせ、ご飯オゴレとかそんなんだろ
というか身に覚えがないのに…何かどうでも良くなってきたな

「わかった…じゃあその時が来たら教えてやる」
「いや だから今教えろよ」
「今は…その時じゃない」

そう言うとヒメコは部屋を出て行った
チラッと見えたがヒメコの目が普通の人間の目になっていた
何なんだ一体?見間違いか?


部屋を出てリビングに行くとヒメコは居なかった、居るのはワイドショーを見ている母と少年エースを読んでいる姉だけだ
ヒメコはどこだろう…帰ったのか?

「お、勇太よ終わったかい?どうなった?」
俺の存在に気付いた姉がコップにコーラを注ぎながら訊いた、答えたところで姉の興味はエースへと移っており大した反応は期待出来ないだろう

「う~ん、何か俺が責任をとることでとりあえず落ち着いた」
「ふ~ん、まあ頑張れ」

こんなヤツだよ姉は…いいよ別に気にしてないし
気分転換に本屋でも行くか
向かいの部屋に戻り、財布を持って玄関に向かう

「あっ!勇太!本屋行くなら コンプティークとちゅるやさんの限定版買ってきて、あとコーラと」

もう一度言うが 姉はこんなヤツだ
玄関の扉を開け外に出て本屋に向かう


本屋からの帰り道
アスファルトの無機質な感覚を踏みながら考えた
するとさっきあった事が何か夢のように思えてきた
いきなり、現れた少女に責任とれと言われ、そうかと思うと今後のことは今は教えないと言われ
まさかホントに夢だったんじゃ…

「帰ったよ」
「コンプ!コンプ!チュルヤ!チュルヤ!(片言で)」

姉はこんな…もういいか
コンプティークと単行本、コーラを強奪するとバイキングが戦いに勝利したかのように自らの頭上に掲げリビングに消えて行った
もう少し年頃の女らしくおしとやかになればいいのに…

俺は財布を机の引き出しに仕舞い自らもリビングに向かった


リビングにはワイドショーを見ている母、単行本をニヤニヤしながら読む姉 そしてグラスに注がれたコーラを不思議そうに眺めるヒメコ …ヒメコ? 何で?

「ちょっ、な、何で?帰ったんじゃ」

俺の声でようやく気付いたのかこちらを振り向く、目は…普通だ 普通の人間の目だ

「勇太!これは何だ!?泡が出てる!」

コーラを指さし大声で言った
もしかしてコーラを知らないのか?

「それ?コーラだよコーラ……ってそうじゃないだろ!?」
「甲羅…亀か?」
「違う違う、コーラって飲み物だよ 可愛いなぁヒメコちゃん」

あぁ姉よ アナタはそっちなのか?
だとしたら少し距離を置こう
むしろマンガに集中してくれ俺はヒメコに話があるんだよ

「飲み物…飲めるのか……(飲んでる)…!!?? 何だこれは!?爆発したぞ!」
「めっちゃカワイイ~ ヒメコちゃん、今晩私の部屋に…」
「やめろ、この変態」

少しずつヒメコに近いていた姉の襟を掴み元の場所へ戻す
頼むから静かにしててくれ

「何すんだ このロリコン」
「うるさい、マンガ読んでろ」
「バーカバーカ、ロリコン」

捨て台詞を吐いて、自分の部屋へと逃げる姉、追いかけるつもりなどない 俺が姉に望むのはおしとやかになって貰いたいだけだ

「この甲羅とか言うのは美味しいな」
「…ヒメコ、お前何でここにいる」

コーラを飲んでいたヒメコの手が止まる、右手がグラスから離れソファーの方へ向き母を指さした

「ここに住めと言われた」

え~と、これはどういう事かな?母上よ
きっちり説明を求む

「え?ヒメコちゃん? ああ、親御さんがいないらしいからウチに引き取ったんだよ」

へ?親がいない?
そんな事でウチの親が養子をとるわけない
何か…何か理由が
それに そんなこと親父の許可とかいるんじゃないのか?

「父さん?いいって言ってたよ、アンタ覚悟しとくんだよ」

親父よ、いいのか?見ず知らずの女の子を引き取るなど…
ちなみに母が言っている覚悟というのは親父は現役の陸上自衛官で18歳から自衛隊にいる根っからの自衛官だからだ ケンカになったらまず勝てないだろう 骨の一本や二本は覚悟しておいた方がいいな

「勇太、甲羅おかわり」
「コーラだよ、ほら自分で注ぎなさい」

コーラのペットボトルを渡すと興味深そうに舐めるように見る 結露した水滴を指で拭き指先に付着した水をじっと眺める

「何してんの、コーラ温くなるだろ」

仕方ないからコーラを注いでやった
炭酸が細かく発泡しコップの縁まで泡がせり上がる

「ふぉぉ、スゴいな 甲羅とやら」
「だからコーラだって」

仮にヒメコが蛇だったとしよう
どうやって蛇が人間になったんだ?
気になる事はたくさんある、だがそれを全て訊く気にはならない
ならば1つだけ、訊いてやろう

「ヒメコ…お前蛇だと言ったな?ならなんで喋れる」
「………知らない、蛇は復讐したい相手の生き物になることが出来る賢い生き物だ 私はそれが人間だったから人間語が話せる」

それは…答えになってないんじゃ…
え~と、つまり 人間になったから人間語が話せるってこと?じゃあ猫なら猫語ってことか

「つまりヒメコは俺に復讐したいから人間になったってことか?」
「そう言うこと、甲羅おかわり」
「飲み過ぎ、今日はもうダメだ」

コーラのペットボトルのキャップを閉め冷蔵庫に仕舞う
後ろからヒメコが文句を言うのが聴こえるがこればっかりはダメだ
それに今はヒメコの正体より親父が帰ってきた時の言い訳を考えないと

「勇太?どうした?悩みか?」
「ああ悩んでるね、親父が帰ってきたら確実にボコボコにされるからな」

親父は基本的に温厚だ しかしドコに地雷があるか分からないから恐ろしい
何てったって自衛官、以前徒手格闘というのを見せてもらったが親父とは二度とケンカしないって心に決めたぐらいだ

「なるほどなぁ、若い内に悩んでおいた方がいいぞ」
「そういえばヒメコは何歳だ?年下にしか見えんが」
「…メスに年を訊くなと言われた事はないか?」

ふむ、どうやらヒメコの地雷のようだな
目付きがマズイ 人を殺しかねない
話題を変えた方が良さそうだ

「ところでヒメコ、いつまでここに居るつもりだ?」
「何だ、私がいると迷惑なのか?でも残念だったな、勇太が責任を果たすまでずっといるぞ」

得意げな表情でこっちを見てくるヒメコ
責任云々の前に片方の選択肢を教えろよ
その後30秒ほど沈黙が続いた
多分30秒ぐらいだと思うがもしかしたら1分とか2分だったのかも知れない
親父への言い訳を考えていたからな、時間の経過とかちょっと分からない

「なあ勇太、私は何処で寝たらいいんだ?」
グラス眺めていたヒメコが頭をガバッと上げた
思い出した!という感じで目を開く

「知らないよ、ここ(リビング)で寝るんじゃないのか?」
「なんだ…勇太の部屋で寝れないのか」
「何で俺の部屋で寝るんだよ」
「いいじゃないか、私と勇太の仲だろう?」

良くない!
大体知り合って2時間程度しか経ってない そんなヤツにそんなセリフ言う資格はない

「な、中々酷いことをじゃないか勇太のくせに」

ってこんな事をしてる場合じゃない
親父が帰ってきちゃう
エロ本を親父にプレゼントすれば喜ぶだろうか…いや逆にボッコボコにされるかもしれない
どうすれば
下手に言い訳か何かして逆鱗に触れたらマズイし、シラを切るのも不可能だろう
あぁ…どうしよう 誰か!誰か切り抜ける方法を教えてくれ!

                                 次のお話へ


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