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歩兵化戦車計画…戦車並の攻撃力を有し歩兵並の機動力を有する兵器開発計画
膠着状態の戦局をひっくり返す秘密兵器として開発された
人工的に造られた身体を持ち、鋼鉄の装甲で身を護る
戦場を自由に走りまわり、歩兵と戦車のどちらでも運用が出来る彼女らは敵から「トイフェル」というアダ名で呼ばれ恐れられた

飾り気のないコンクリートの建物
夜だというのに電気も殆んど点灯していない、草や枝をくくった偽装ネットを戦車に被せる兵隊、眠たそうに敷地内を巡回する新兵、明日の休暇をどの店に行く
かマップを見て確認するMPなど何処の基地でも見れる兵隊たちのいる基地司令部の建物1階に彼女らはいる
扉を入ってスグに迷彩服を着た男性が2人、その前にバラバラの軍服を着た7人いる それが彼女ら歩兵化戦車だ

FirstExperimentPlatoonと書かれたパネルを持った男性がスゥゥ…と息を吸う、大声を出すのだろうと彼女らは身構える

「点呼ッ!!」
「第1小隊!番号1番!!」

1番から7番まで順々に点呼が進む
1番だけ男性で残りは全員女性だ、しかし彼女らは明らかに兵隊の体型ではない
どちらかと言うと中学や高校で体育会系の部活をしていそうな体型だ

「よし、点呼終わり はぁ…何とか揃ったのがこれだけか」

第1小隊の面々の前のファイルを持つ男性が呟く
男性は階級章を見る限り中佐のようだ
小太りだが太い腕を見る限り贅肉ばかりではなく結構筋肉質なのだろう 彼の頬と腕に大きな傷が見える

「ようこそ第1小隊の皆さん第501戦術教導隊へ、君たち第1小隊は歩兵化戦車の実戦データの収集、及び敵の駆逐だ 頑張ってくれよ」

褐色の肌によく目立つ白い歯をニッと見せ中佐が話す

「着任早々で悪いがここから西へ20kmに斥候に行った奴等が孤立しているから救助に行ってくれ 20分で出撃しろ、以上」
「サレオス中佐に敬礼!」

横にいたアラストール大尉が言い終わると同時に全員が敬礼する
サレオス中佐は答礼するとスグに部屋を出た、大尉がブリーフィングノートとパネルを1番の男性に渡し中佐の後を追った

「ブリーフィングを始める、我が第1小隊の初陣だ気合い入れろよ?」
『はい!』
「よし、え~とまず移動手段は…徒歩か」

ザワザワと騒がしくなる部屋、1番…アックス少尉が制した

「何だ?異論があるのか?モーロト!」

最も背が高く目立つ兵隊をアックスは指差す
モーロトと呼ばれた兵隊は気を付けの体勢になり胸を張って言った

「あの重装備で20kmを歩くのは辛いです」
「お前は兵隊だろ?20kmぐらいで根を上げるな」
「いえ、私より…日ノ本やセールプが難しいのでは?」
「何だと!?私は歩けるよ!なぁ日ノ本」
「あ、当たり前です その為に訓練したんですから」

確かにモーロトが指差した兵隊はずば抜けて小柄だ、特にセールプと呼ばれた少女は兵隊とは思えない程小柄だ小学生に見えない事もない
気性は荒いようだが…

「いや、歩けると思うが…でもまぁ全員で出撃して全滅するのは避けたい……よし、出撃を俺を含め3人にする 志願兵は一歩前へ!」

ザッと一斉に足音し、全員が一歩前に出た
アックスは大体予想出来たこと故にあまり驚かなかった、むしろ勇敢な部下に恵まれたことを喜んだ

「3人だと言ったろう、まあいい モーロトとグリム・リーパー 行くぞ 残りのセールプ、日ノ本、シンツン、リッターオルデンは寝床とメシを確保するんだ」
『サー、イエッサー!』

自らの装備をまとめる
彼女らの見た目は女性兵士だが歩兵化戦車という兵器だ
歩兵化戦車はモデルになった戦車がある、例えばグリム・リーパーはアメリカ合衆国のM1A2戦車がモデルになっている、武装は小口径なるも元の戦車に近い能力を持っているといわれる砲を装備し破片効果榴弾、超高速徹甲弾などを発射可能だ、左手には砲塔を模した盾を装備している
脚部は戦車の台車部分を模した装甲を装着する この装甲はただの装甲ではなく歩兵化戦車の人工筋肉の能力を増幅させる能力がある、つまり足を守りつつ脚力が向上するすばらしい装備なのだ(砲や装甲が重いので足が遅くなるのを防ぐ為でもある)

「よし、グリムが右翼側、モーロトが左翼側の配置だ 密林だから全周警戒怠るな、レーダーより自分の目と耳を信じろ」
「了解、モーロトは左翼カバー」
「ROG、グリム・リーパー右翼カバー」

一番前を歩くアックスは普通の人間だ
故に自動小銃が主要武器だがグリムやモーロトはM2重機関銃並の重さを誇る砲を片手で軽々と持つ、それはモーロトやグリムだけではなく日ノ本やセールプもそうだ
人並みの力ではないことがよく解る

機械的な足音を出しながら2体の兵器が基地正面の密林へと消える
持っている砲や装甲はゴツいが華奢そうな身体は誰が見ても戦局をひっくり返す秘密兵器にはちっとも見えなかった


歩き初めて2時間程

暗視装置を利用し周辺を確認しつつ前進する3人、全員初陣だと言うのに気味が悪い程にに落ち着いている

『小隊長…2時の方向距離700に人影…歩兵ですね』

右翼をカバーしているグリムが無線で話す
ノイズも殆んど無く初陣にしてはエラーも無く結構良好のようだ

「味方か?」
「分かりません」
「グリム、数は?」
「2…いや3、3人 1人は背負われてる」

アックスからは見えないが茂みの方向には歩兵が居るらしい、敵か味方か…装備は一体何か、自動小銃か対戦車ロケットか…

「小隊長…接触してもよろしいですか?」

左翼をカバーするモーロトが言う、仮に敵だったら殺しても構わないからだ
少年のような輝いた瞳をみせる、さすがは兵器と言った所か

「近付いて所属の確認をするんだ 味方なら保護、敵なら捕虜だ」
「では反撃を受けた場合はどうしますか?」
「急所は外せ、殺すな」
「しかし小隊長…」

グリムが口を挟む、照準器を覗いて監視していたが今は目を照準器から離してアックスの方向を向いている

「急所を外した所で榴弾が人体に命中したら確実に即死です」

砲身を叩きながらサラッと言った
確かに、歩兵化戦車の砲は20mmから30mm口径だ 特に榴弾に被弾したらバラバラだろう、血が止まらないの騒ぎではない

「…仕方ない…反撃されたら攻撃してよし、但し俺に連絡入れてから」
「了解、所属の確認の為歩兵に接触します」

ニコニコ笑顔のモーロト、彼女は第1小隊の中でもドSで知られている
シミュレーターで軍人も民間人関係なく皆殺しにしたこともある
とりあえず半端ではないドSである

ロシア特有の戦車兵ヘルメットが茂みに消えて行く
しばらくしてモーロトの嬉しそうな声が無線から聞こえた

『小隊長、3人は味方だ その後ろに敵の歩兵がいる』
「何人だ?」
『一個分隊だな、兵員輸送車のオマケ付き』
セリフの最後にハートマークが付きそうな感じでモーロトが話す 何とも楽しそうだ

「小隊長、私も前に出ます」
「よし、グリムとモーロトで敵歩兵叩け 斥候の保護は俺がやる」
『了解、射撃許可を確認 目標兵員輸送車』
『モーロト、私のも残してよ?』

密林の静寂をつんざく発射音が響きと遠くで悲鳴と爆発音が聞こえた
急いで斥候を救助に向かう
茂みは膝ぐらいまであり伏せられてしまうととまず見つけられないだろう それまでに接触する

「第501戦術教導隊の斥候か?救助に来た、第1実験小隊のアックス少尉だ」
「…あ、ああ 第5偵察小隊のラシュヌ伍長だ…あれは…スゴイな、」

伍長の視線の先にはモーロトとグリムがいる、腰を落として砲をバカスカ撃ちまくるモーロトとグリムは今まで見たことない笑顔だった、まるでウィンドウショッピングを楽しむ女子高生のように見える

「すげぇ…見ろよ、笑ってるよ…何モンだあれ」
「新兵器だよ、実戦データの収集が任務だ」
『小隊長、敵が降伏して来ました どうします?』
「分かった、捕虜にしろ」

しばらくして2人が敵を3人連れてきた
皆、恐怖で震えており顔が引きつっている
伍長たちがグリムたちを見て呆気にとられているが大体予想がついたのでそのままにしておく

「敵歩兵を3名捕虜にしました 私とモーロトの2人で15発発射し10発が兵員輸送車及び歩兵に被害を与えました」
「よくやった、初陣にしては上々だ 救助も終わったし帰還する、捕虜が先頭でモーロト、伍長、俺、グリムの順だ」
『了解!』

頭に手を載せた捕虜を先頭に砲を突き付けたモーロトが歩く、もちろん発砲するつもりはないが無意味にコッキングして捕虜を怯えさせてニコニコしている …ホントにドSだ
顔面蒼白で歯をガチガチ震えさせる捕虜はその内恐怖で失神するんじゃないかというぐらい怯えている、確かにさっきまで自分たちを攻撃してきた敵に武器を突き付けられているのだから恐ろしいのはよく分かる、しかもニコニコ笑ってるし無意味にコッキングされては落ち着かない

『モーロトやめなよ』

無線でグリムが注意する

『何でよ、撃つつもりないからさ大丈夫だって』
『そういう問題じゃないでしょ』
『じゃあ何?』

アックスを含めて普通の人間なら捕虜が可哀想だと言うだろう、しかし彼女らは兵器だ人間ではない

『その30mm砲が可哀想でしょ、いくら頑丈でも壊れちゃうよ』
『え?ああ…そうだな忘れてた大事にしないとな』

アックスは吹きそうになった、2人の会話が普通の人間の会話とは違い過ぎて滑稽だったからだ 捕虜より自らの武器のが大事なのはよく分かるがそこは捕虜だろ
と突っ込みをいれたくなった、まあ面倒なのでそんな事はしないが

伍長がモーロトの武装を物珍しそうに眺めているのがアックスの目に止まる、どうやらかなり興味をもったらしい

「伍長、うちの新兵器はどうだい?」

モーロトにも聞こえたのか興味深々な顔でこちらを見ている

「ああ、スゴイの一言だ 特にあの砲、敵だったら半端なく恐ろしいが味方ならめちゃくちゃ頼もしいよ」

伍長の前方を歩くモーロトが手を振って応える、あれは多分喜んでいる
グリムも喜んでいるに違いない

「少尉殿、このお嬢さんたちにぴったりのアダ名を思い付いたんですがいいですかい?」

斥候の1人の上等兵が恐る恐るアックスに訊いた、少し良くないアダ名なのかも知れない自分の前を歩くモーロトに配慮するようにチラ見しながら言う

「何だ?」
「『アイアンメイデン』ってアダ名なんですがね」

『ブッ』
無線にノイズのような音が飛び込む、しかしそれはノイズではなくモーロトが吹き出した音だった

『素晴らしい!素晴らしいよ上等兵殿、「鋼鉄の処女」か素晴らしい皮肉だ!気に入ったよ』

腹を抱えて大笑いするモーロト
確かに素晴らしい皮肉だ、モーロトだけではないアックスもグリムも気に入った、多分皆気に入る、部隊の名称にしてもいいとアックスは思った

密林が少し拓けた先に基地が見える
飾り気のないコンクリートの建物
偽装が終わって草と木の塊にしか見えない戦車、詰所のドアに寄りかかって寝る新兵の後ろで腕を組んで蹴り飛ばす準備をする下士官
どこの基地でも見れる光景だが1つ何処の基地でも見れないモノがあった

それは彼女ら…アイアンメイデンだ


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